公募研究
生体分子を可視化する手段として、蛍光は時空間分解能に優れ多様なプローブ開発ができる一方、ポジトロン断層撮像(PET)は生体深部を非侵襲的に画像化できる優位性を有し、相互補完的に活用する事でミクロとマクロを繋ぐイメージング技術となり得る。本研究課題では、標的レポーター分子を蛍光と放射性核種でそれぞれ標識された化合物プローブにより検出可能な生体脳イメージング技術を確立し、その性能亢進と応用性の拡張を目指した。初年度は、細胞やマウス脳に野生型レポーター分子を発現させ蛍光とPETでイメージングする技術を開発し、Split型レポーター分子の設計を通じて蛋白質間の相互作用を検出する事に成功した。本年度は、分子シミュレーション解析に基づいて野生型レポーター分子への変異導入と化合物の構造改変によるレポーター性能の共進化を図り、親和性の大幅に改善した変異体と化合物誘導体の組合せを見出す事に成功した。また、従来型の蛍光プローブは脳移行性に改善の余地があったため、脳移行性を高めた新規赤色蛍光プローブを領域内の共同研究により新たに開発し、細胞内レポーター分子の発現を高効率で標識できる事を明らかとした。一方、Split型レポーター分子にリンカー配列を介して凝集性蛋白質を連結する事により、生細胞や動物脳で同蛋白質が多量体形成していく様子を捉える事に成功した。細胞特異的にシグナル経路の活性化や受容体二量体化などを検出できる見込みも得られており、同技術を活用した幅広い生体脳イメージングとしての有用性を示す事ができた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Neuroscience
巻: 40 ページ: 3491~3501
doi: 10.1523/JNEUROSCI.2880-19.2020