今年度は、NRSYM1およびNRSYM1とは異なるNLP転写因子をコードするNRSYM2の解析を行った。nrsym1、nrsym2、nrsym1 nrsym2変異体を用いたRNA-seq解析を行った結果、 根における硝酸応答性遺伝子発現誘導のほぼ全てはNRSYM1とNRSYM2によって制御されていることがわかった。また、根粒菌感染条件を加えたRNA-seq解析により、根粒形成の正の制御転写因子NINの標的遺伝子の発現がNRSYM1およびNRSYM2依存的に硝酸によって抑制されることがわかった。ミヤコグサゲノム中にはNRSYM1、NRSYM2 の他に機能未知の3つのNLP転写因子が存在する。これらのNLP転写因子の機能を明らかにするために、CRISPR-Cas9によりノックアウト個体を作成した。機能未知の3つのミヤコグサNLPについて、それぞれのnlp変異体は単一の変異では根粒形成や硝酸応答に関わる顕著な表現型が見られなかった。その一方で、nrsym1、nrsym2変異を加えたnlp の5重変異体の表現型を用いた解析により、NLP転写因子の機能重複と分担の仕組みの一端を解明した。 NRSYM3はシロイヌナズナのNITRATE TRANSPORTOR 2.1 (NRT2.1) に最も相同性の高いタンパク質をコードしている。今年度はNRSYM1、NRSYM2、NRSYM3の遺伝的関係を解析した。その結果、NRSYM3の発現はNRSYM2によって硝酸依存的に直接制御されている可能性が示唆された。 根への硝酸添加によって葉において発現が誘導され、非分泌型または分泌型ペプチドをコードする遺伝子をRNA-seq解析により収集した。
|