研究領域 | 進化の制約と方向性 ~微生物から多細胞生物までを貫く表現型進化原理の解明~ |
研究課題/領域番号 |
18H04820
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市橋 伯一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20448096)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | RNA構造 / 構造ゆらぎ / 進化 |
研究実績の概要 |
生物進化の方向性に対する制約のひとつとして、揺らぎの大きな表現型が進化しやすいという傾向(揺らぎ応答理論)が提唱されている。しかしながら、未だ実験的な検証は十分ではなく、またその制約をもたらすメカニズムも明らかでない。そこで本研究では、これまでに行った進化実験における各段階のRNA9種類について、構造特異的RNAラべリング実験により構造とその揺らぎを正確に予測し、構造揺らぎと進化により変化した構造に関連があるかを直接検証する。さらに得られた結果から、揺らぎ応答をもたらす分子メカニズムを理解することを目指す。30年度では、以下の2項目を実施した。 1.9種類のRNAの全長について構造特異的RNAラベリングにより各塩基の対合率を測定した。RNAの表現型(構造)ゆらぎを測定するために、構造特異的RNAラベリングをRNA全長にわたって実施した。結果をRNA配列に対応付け、RNAの各塩基が対合を形成する割合を求めた。できるだけ精度を高めるために、同一RNAについて複数回の実験を行った。 2.RNAラベリングのデータを用いてRNAの構造分布を求めた。RNAラベリングデータを制約条件に用いて、各RNAのとりうる構造とその安定性を計算した。この解析により、多くの取りうる構造とその存在割合(すなわち構造分布)を求めた。 以上の結果より、構造ゆらぎと進化の方向性に関係があるかどうかを検証するためのデーターセットを得ることができた。平成31年度に解析を進め、この関係性を明らかにしていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的であるデータ取得を1年前倒しで完了することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画では2年目もデータ取得を続ける予定であったが、1年目に予想以上に進んだためその必要は無くなった。2年目は当初の予定通りデータ解析を進めるのに加えて、データから見えてきたRNA構造の揺らぎ変化のパターンについても解析を行う。
|