研究実績の概要 |
1.出芽酵母では、Atgタンパク質は隔離膜上に3つのゾーンを形成することが知られている。我々は蛍光顕微鏡画像の形態定量解析により、出芽酵母のオートファゴソーム形成の全過程を可視化するシステムを構築した。このシステムを用いると、これらのゾーンがさらに詳細なゾーンに分割される可能性が示唆された(論文準備中)。 2.出芽酵母が栄養飢餓を感知すると、オートファゴソーム形成の足場となるAtgタンパク質(以下、足場Atgタンパク質)が液胞膜近傍に集積する。また、栄養飢餓が解除されると足場Atgタンパク質は速やかに細胞質に拡散する。我々は共同研究により、足場タンパク質複合体が液状タンパク質であり、その集積と拡散が栄養飢餓に応答した足場タンパク質の翻訳後修飾により制御されていることを示唆する結果を得た。我々は、出芽酵母を用いて足場タンパク質が集積する場所を決定づけているタンパク質を同定し、論文として報告した(Fujioka et al., 2020)。 3.出芽酵母において、ERESを蛍光標識したのち、蛍光イメージングを行い、オートファジー誘導時の形態変化を観察したところ、オートファジー活性を有する株にのみER exit siteの形態変化を見いだした。現在目視で確認された形態変化を、形態定量的手法により客観的に解析している(論文準備中)。さらに、小胞体の形態変化を生じる変異体を用いてオートファジー活性を調べたところ、野生株に比べて有意な低下が見られた(未発表)。隔離膜-小胞体 contact siteの形成能が低下していることがオートファジー活性低下の原因だと考え、Split-GFPシステムおよび形態定量的手法により解析を進めている。
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