ミトコンドリアオートファジー(マイトファジー)は、ミトコンドリアがオートファジーにより選択的に分解される現象である。ミトコンドリアは分裂と融合を繰り返すことでその形態を様々に変化させるが、多くの場合、ミトコンドリアは一般的なオートファゴソームより大きい。このため、オートファゴソームは、大きなミトコンドリアからその一部を切り取るようにして包み込む。このことは、一つのミトコンドリアであっても、オートファジーで分解される部分と分解されない部分が生じていることを意味し、意図的に分解される部分と分解されない部分が分けられている可能性が高い。実際、出芽酵母では分解される部分がミトコンドリアレセプターAtg32の集積する部位として可視化される。本研究では、ミトコンドリアの分解される部位(または領域)をミトコンドリア分解ゾーンと呼ぶことし、その形成機構や意義について研究した。これまでに、分解ゾーン形成に関わると思われる因子としてAtg43を同定している(未発表の新規因子)。このAtg43の破壊株では、分解ゾーンがオートファジーによって分解できないことを見いだした。さらに、Atg43はミトコンドリアの形態にも影響を与えていた。 一方で、哺乳類でも分解ゾーンに蓄積していると思われる因子を同定している(未発表)。これらの因子は、同時にマイトファジー自体にも重要な役割を持っていることが明らかとなった。 今後は、出芽酵母Atg43の解析を中心に分解ゾーン形成機構とその生理的意義の解明を進めて行く予定である。
|