公募研究
昨年度はEzh2の異常を持ったトランスジェニックマウスの尻尾の細胞を用いて山梨大学の若山照彦教授との共同研究によりクローン動物の作成を行った。この動物から出来上がったクローン胚からES細胞を樹立する実験をスタートすることが出来た。このクローン作成実験と並行して、精巣における遺伝子編集系を確立するために新たなウイルス遺伝子導入系を確立した。この実験では高頻度に細胞融合を誘導できるセンダイウイルスのキャプシドタンパク質として知られているF蛋白質とHN蛋白質を用いた。これまでの研究代表者の研究でセンダイウイルスが効率良く遺伝子導入に使えることがわかったので、これらのキャプシドをレンチウイルスを作成する際にウイルスベクターと同時に発現させることでセンダイウイルスの性状を模倣した形のレンチウイルスを作成した。このウイルスは当初の予想通りセンダイウイルスと同様の高い感染効率で生殖細胞へと遺伝子導入が可能であった。遺伝子編集ベクターを用いることで、生殖細胞での遺伝子破壊も家訓することが出来た。さらに精巣の体細胞であるセルトリ細胞やライディッヒ細胞にも効率よく遺伝子導入が可能であった。当初予期しなかった結果としては、このF蛋白質を用いて作成したレンチウイルスは精細管の基底膜や通常のレンチウイルスが通過することが出来ない血液精巣関門をも通過できることが挙げられる。この新しい特性を獲得したレンチウイルスを用いれば、従来は精巣の精細管内へとウイルスを注入する必要があったが、精細管外からでも遺伝子導入が可能となった。この手法を用いることで性決定に関わる遺伝子とされている遺伝子群を遺伝子編集により破壊することが出来ると期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
Biol. Reprod.
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10.1093/biolre/ioz156
Stem Cell Reports
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