がん特異的な異常タンパク質のゲノム依存的な発現制御機構を複合体レベルにおいて解明するための解析手法を開発した。具体的な開発項目は以下の二つである。 ◇プロテオーム情報に基づくタンパク質複合体の推定手法とがん特異的な活性異常の同定手法の開発 ◇タンパク質複合体のがん特異的異常へ繋がるゲノム変異因子の同定手法 CORUMから4000におよぶタンパク質複合体の構成タンパク質情報を集約するとともに、共発現ネットワークのモジュール構造に基づき推定するデータ駆動型手法を開発した。がん特異的な複合体異常の同定には、コピュラと呼ばれる統計的枠組みを新たに導入することでプロテオームデータ特有の欠損値によるノイズの影響に対して、既存手法と比較してロバストな共発現変動解析手法を開発した。またタンパク質複合体異常へ繋がるゲノム変異を同定手法を開発し、サブユニットへの単一の変異により複合体全体の活性度が低下する複合体を、腎癌と大腸癌の大規模プロテオームコホートデータを用いて明らかにした。
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