公募研究
海洋のサブメソスケール現象については、従来の船舶観測では調査が難しいこともあり、構造や鉛直混合に関する実証的知見は不足している。水平循環から鉛直混合に至る経路は、潮汐混合や風による直接的な混合とは異なるものであり、海洋の鉛直混合過程の理解と定量化・予測に向けて研究領域の計画を補完する重要なピースとなり得る。日本近海の黒潮・親潮域は、両海流の影響もありサブメソスケール前線が高頻度に出現する海域である。本研究では、黒潮・親潮域に形成される前線を対象にサブメソスケール解像観測を実施、水サブメソスケール前線の密度・流速構造の動態と鉛直混合強度の関係を解明し、混合による物質・生物相の分布実態を明らかにすることを目的とした。これに基づく2018、2019年度の2年間の事業により、下記の成果を得た。1) サブメソスケール前線の密度・流速構造の動態を成層期の外洋域および沿岸域において明らかにした。。2) サブメソスケール前線付近では、様々なサブメソスケール(2次元)乱流過程が提案されているが、その実証的知見は十分ではなかった。本研究では、1)のサブメソスケール前線そのもののの観測に加え、各海域・季節で乱流観測を実施し、サブメソスケール前線と混合の対応関係について知見を得た。これにより、潮汐や風応力等の、直接の内部波エネルギーの注入だけでは説明できない、前線付近での乱流強化等、水平循環から等方乱流につながるエネルギールートが、少なくとも一定程度あることを実証した。3)乱流栄養塩フラックスの定量化には、間欠性の大きい乱流強度の定量化が必要である。本課題では、太平洋海盆規模で実施した観測結果の解析により、太平洋を海盆規模でカバーする亜表層の拡散係数の定量化と要因分析を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers
巻: 159 ページ: 103240~103240
10.1016/j.dsr.2020.103240
Deep Sea Research Part II: Topical Studies in Oceanography
巻: 169-170 ページ: 104688~104688
10.1016/j.dsr2.2019.104688
Frontiers in Marine Science
巻: 6 ページ: ー
10.3389/fmars.2019.00422
Estuarine, Coastal and Shelf Science
巻: 228 ページ: 106352~106352
10.1016/j.ecss.2019.106352