研究領域 | 海洋混合学の創設:物質循環・気候・生態系の維持と長周期変動の解明 |
研究課題/領域番号 |
18H04914
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
長井 健容 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90452044)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 黒潮 / トカラ海峡 / 海山 / 対称不安定 / 乱流混合 / 近慣性内部波 / 日向灘 / 内部波最小周波数 |
研究実績の概要 |
2018年度は、2017年11月に黒潮が流れるトカラ海峡で実施したかごしま丸を用いた自由落下曳航式乱流観測結果を論文としてまとめた。論文には、さらに2018年6月に実施した観測結果を加え、数値シミュレーションと合わせた解析結果を含めている。この結果、黒潮がトカラ海峡の海山上を流れる際に、負の渦位を北東斜面で生成し、対称不安定を生じて、著しく強い乱流を100kmの規模で発生させていることが明らかとなった。また、この擾乱に伴って、海山近傍から近慣性内部波が励起され、更に2次的な乱流を発生させている可能性が示された。本論文をできるだけインパクトファクターの高い著名な雑誌に掲載することを目指し、何度か挑戦を繰り返した。その結果、現在本論文は、著名な雑誌で査読を受けている。また、これに加え、2018年6月に実施した、同じくかごしま丸を用いた日向灘沖の観測では、黒潮が陸棚斜面に接近する状況で、高解像度の乱流観測を実施することに成功した。観測の結果、黒潮が陸棚斜面付近で、著しく強い乱流を、20-30kmと200mの水平鉛直規模で発生させていることが明らかとなった。このような規模の乱流混合が黒潮内部で発生していることは、これまで報告されていなかった。解析の結果、強い乱流は、黒潮が内部波の存在可能な最小周波数を変化させ、近慣性内部波を黒潮近傍に閉じ込めることで発生していることが示唆された。この結果は、Geophysical Research Letters(インパクトファクター4.34)に掲載が決定し、現在印刷中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画では、トカラ海峡に焦点を絞る内容であったが、同様な観測を更に下流へ展開した結果、黒潮が陸棚斜面近傍を流れる際に発生する強い乱流混合を捉えることに成功できた。また、当初の計画であった、トカラ海峡での乱流と近完成内部波の発生メカニズムについても、観測結果と数値実験結果を論文としてまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、近慣性内部波が、黒潮が海山上を流れることで発生するというメカニズムを更に詳細に検証するため、様々な数値実験を実施する。また、潮汐の影響について更に考察する。また、観測海域を更に下流域に広げ、黒潮が日本本州南岸の陸棚斜面に接近する際に、同様な強い乱流が発生するのかを数値実験と合わせて調査する。
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