研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
18H04938
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オシレーション / 事象関連電位 / ドパミン / 統合失調症モデル / 一次聴覚野 |
研究実績の概要 |
高次脳機能が発揮されるには、皮質の各領野情報の連合・統合を必要とするが、その情報統合に必要だといわれているのがオシレーションと呼ばれる神経細胞の発振現象である。ヒト精神疾患である統合失調症患者では皮質脳波(事象関連電位)のγオシレーションが前頭前野や聴覚皮質で低下する、もしくはその位相同期性が低下してしまう。したがってγオシレーション傷害は、感覚情報統合をかく乱する結果、認知機能の異常、いわゆる統合失調症の精神症状を誘発してしまうのではないかと推定されているが、この仮説を立証する神経生理学的情報は少ない.そこで本計画ではドパミンによる皮質γオシレーション制御メカニズムとその脳機能(感覚情報の統合能力)との関係を明らかにする計画を実施中である。本年度においては、そのドパミン神経発達が亢進している統合失調症モデルラットとドパミンアゴニスト(キンピロール)投与動物を用いて、以下の実験結果を得た。 ① EGF投与統合失調症モデルラットにおける音長逸脱オドボル課題は同確率提示課題と比較して、逸脱に反応するERP成分の低下を誘発し、そこには皮質γオシレーション駆動欠損がみられた。 ② オドボール音刺激課題において一次聴覚皮質のERPは刺激終了点から音長逸脱関連α・β帯域誘導パワーの上昇が無投与条件で観察されたが、キンピロール投与条件ではその減弱および潜時遅延が観察された。 ③ チロシン水酸化酵素(ドパミン合成酵素)の遺伝子プロモーター下にCREリコンビナーゼを発現するドライバーラットを用いて、その中脳ドパミン神経にアデノ随伴ウイルスベクターに入ったチャネルロドプシン遺伝子を細胞特異的に発現させることに成功した。光刺激でドパミン神経のユニット発火が上昇することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ECOGの多点記録を現在実施中であるが、脳波の基線が安定しない動物が多く観察されるため、信頼できるデータの取得に手間取っている。特に遺伝子改変ドライバーRATが太陽となり、その数か限定されているので、効率を上げる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験はほぼ終了し、本実験に移れるようになった。ECOGの多点記録の不安定さの課題は残るが、早々にドライバーラットに光遺伝学手法を適用し、一例でもいいのでドパミン神経発火パターンを介入を開始したい。今後、本実験で表面化してくる課題を合わせて、実験系の効率化、最適化を図る計画である。
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