研究領域 | 非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解 |
研究課題/領域番号 |
18H04952
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高田 則雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (50415212)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 視床網様核 / 全脳生理学 / 蛍光観察 / fMRI / マウス / 遺伝子改変マウス / parvalbumin |
研究実績の概要 |
脳の領域間の機能的結合強度は常に一定ではなく、睡眠覚醒リズムに応じて変化する。これを実現する仕組みは何か?視床網様核(TRN)は、視床から大脳皮質へ伝える情報を選別する「門番」と言われる。また、TRN 神経の発火様式は睡眠と覚醒の状態で全く異なる。よって、状態依存的な脳領域間の機能的結合強度の変化を、TRN 活動が担う可能性がある。そこでこれを実証するために、TRN活動と全脳活動との同時計測を実現し、睡眠と覚醒の状態を特定した上でそれらの関係性を検証することを本研究の目的とした。独自に開発した「光ファイバー蛍光測定法」(J Neurosci 37:2723-2733, 2017)と「覚醒マウスを用いた機能的MRI(fMRI)撮像法」(J Neurosci Methods 274:38-48, 2016)とを融合し、この技術を、TRN特異的に蛍光Ca2+センサータンパク質を発現させた遺伝子改変マウスに適用することで、TRN活動(Ca2+)と全脳活動(fMRI信号)との同時計測に申請者らは初めて成功した。この結果、TRN が新規の低周波数発振活動を示すこと(第41回日本神経科学会で発表済み)、このTRN発振と同期して活動が上昇あるいは減少する脳部位群が存在することを見つけた。これらの関係性が睡眠覚醒状態に応じて変化するか検証するため、次年度には上記の同時計測法にさらに「電気生理学的計測法(脳波・筋電)」を融合させて、fMRI 撮像中のマウスの状態(睡眠・覚醒)を初めて特定可能とする。以上によってTRN活動と全脳活動との関係性が睡眠覚醒状態の変動に伴って変化するか検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスfMRI撮像において、睡眠覚醒判定用の電極を配置するのは初めての試みである。MRI撮像は強力な磁石を利用する。このため電極が存在することで、MRI計測信号が歪んだり、消し飛んだりする。このような悪影響をできるだけ回避するための電極の選定や、頭蓋への設置方法を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
MRI撮像中のマウス馴化手順を確立する。MRI撮像中にマウスが睡眠覚醒状態を示すには、マウスが十分に馴化している必要があるためである。またMRI撮像と脳波筋電計測とを同期計測する系を確立する。MRI撮像中は大きな磁場変動が伴うため、計測脳波などに大きなノイズが混入する。これを除去するために上記の同期計測を利用するためである。具体的にはMRI撮像のタイミングと、脳波計測とのタイミングが厳密に同期していれば、MRI撮像によって混入するノイズを、計測信号の加算平均によって除去できる。
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