研究領域 | 宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
18H04965
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 智 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50271896)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 筋萎縮 / 微小重力 / 宇宙実験 / マウス |
研究実績の概要 |
1. 培養細胞への遺伝子導入を用いたin vitroスクリーニングと分子機序の解明 マウス宇宙実験および地上の尾部懸垂実験のRANシークエンスデータのバイオインフォマティクス解析から、複数の候補遺伝子を同定した。同定した遺伝子をGFPが共発現するアデノウイルスベクターに組み込み、過剰発現できるアデノウイルスベクターを構築した。マウス横紋筋由来筋芽細胞株であるC2C12細胞に、作製したアデノウイルスベクターを用いて遺伝子導入することにより、筋線維径への影響をスクリーニングした。10種類の候補遺伝子についてアデノウイルスベクターを作製して解析した結果、C2C12で筋管径が縮小する4種類の遺伝子が同定された。 2. 遺伝子改変マウスの作製と個体レベルでの候補遺伝子のin vivo機能解析 上記で同定された遺伝子をアデノウイルスを用いてマウス新生児の前脛骨筋に遺伝子導入することにより遺伝子を過剰発現させ、個体内で筋萎縮を誘導できるかを確認した。その結果、3種類の候補遺伝子で遺伝子が導入された筋繊維の萎縮が確認された。それらの遺伝子の生理的な機能を解明するために、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集により、マウス受精卵を用いてノックアウトマウスを作製した。いずれの遺伝子のホモノックアウトマウスは、発生には異常がなく生存可能であった。これらのノックアウトマウスの筋肉の表現型について、詳細な解析を次年度実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙実験のデータ解析から候補遺伝子を同定し、それらの候補遺伝子がC2C12およびマウス前脛骨筋への遺伝子導入で、筋萎縮を誘導することが確認できたため、スクリーニング系は有効に機能していることが確認できた。それらの遺伝子のノックアウトマウスは、胎生致死あった場合にはコンディショナルノックアウトを作製することを予定していたが、作製した4遺伝子のノックアウトマウスは胎生致死ではなかったため、これらのノックアウトマウスを用いて表現型を解析することが可能であった。このように、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、C2C12を用いたスクリーニング系で新たな候補遺伝子を同定するとともに、作製したノックアウトマウスの表現型を解析し、表現型が同定できた場合には、その分子機構を解明するとともにヒト疾患との関係を解析する。
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