研究領域 | 宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
18H04973
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
前川 洋一 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294670)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 免疫代謝 / ミトコンドリア / メモリーT細胞 |
研究実績の概要 |
本研究領域前期公募研究にて、重力変化ストレスによりメモリーCD4陽性T細胞の細胞比率に影響を受けることを見出していた。そこで後期公募研究の本年度は、CD4陽性T細胞の代謝に着目した解析を行い、以下の知見を得た。 1、過重力下のマウスでは、免疫部位に所属するリンパ節細胞のミトコンドリア機能が低下した 2、過重力ストレスによりT細胞のミトコンドリアでのROS産生が亢進した 3、過重力下で活性化したT細胞ではミトコンドリア量が低下し脂肪酸取り込みが減弱した 4、過重力下で活性化したT細胞のATP産生はより解糖系に依存していた 以上の知見から、免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞内では重力変化ストレスに対してミトコンドリア関連の代謝系活性が影響を受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫担当細胞自身に重力センサーがあるとの仮説に基づき研究を行なっている。ミトコンドリアの重力センサーとしての可能性について検証しており、本年度はミトコンドリアが関連する代謝経路について解析を行った。重力変化ストレスを受けたCD4陽性T細胞ではミトコンドリア関連代謝系の活性が低下しているとの予備的知見を得ることができた。私たちの仮説を証明する上で、本年度の成果は重要な位置を占めると考えており、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、重力変化ストレスを受けた 免疫担当細胞で観察されたミトコンドリア関連代謝系活性の低下の分子基盤を解明することに取り組む。また、遺伝子発現について網羅的な解析を行い、重力変化ストレスが細胞内でどのような表現型に翻訳されているのかについて取り組む予定である。ミトコンドリアが重力変化によりストレスを受けることで細胞機能に変化が誘導されると考えているため、ミトコンドリアレベルでストレスを軽減する方法についても探索したいと考えている。一方、重力変化ストレスによる変化は、どうストレスへの適応反応である可能性も考えられるため、この観点からも検討を行うことを計画している。
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