研究領域 | 多様な質感認識の科学的解明と革新的質感技術の創出 |
研究課題/領域番号 |
18H05011
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
岡部 孝弘 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00396904)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / コンピュテーショナルフォトグラフィ |
研究実績の概要 |
透明・半透明物体の見えは,物体と入射光との相互作用,すなわち,反射・屈折・散乱・吸収などにより豊かな質感を生じる.本研究では,透明・半透明物体と入射光との相互作用が入射光の波長に依存することから,多波長照明や多波長画像,つまり,マルチスペクトルイメージングによる透明・半透明物体のモデリングと質感編集に取り組む.透明感や半透明感の編集技術,ならびに,その要素技術(透明物体の幾何学的特性の推定や半透明物体の光学的・分光学的特性の推定)の開発を通して,透明・半透明物体の質感認知機構の解明の推進に貢献する. 透明物体に関しては,水を対象として,水面と水底(水中物体を含む)の形状復元に取り組んだ.具体的には,水は可視光に対して透明であるのに対して,近赤外光に対しては吸収のために半透明であることから,可視光と近赤外光という異なる波長で得られる相補的な手掛かりを統合した形状復元について基礎的な検討を行った.特に,静的シーンを仮定した形状復元技術を開発した.また,マルチスペクトルイメージングにより,分光反射率未知の物体表面上において水を検出する手法も提案した. 半透明物体に関しては,半透明物体上で観察される反射成分(鏡面反射成分・拡散反射成分)と散乱成分(表面下散乱成分)の光学的特性の推定に取り組んだ.具体的には,プロジェクタを用いた能動照明の枠組みで,等方的な散乱媒体を仮定して,反射・散乱成分の分離と反射率・散乱特性(点拡がり関数:PSF)の推定の両方に適した投影パターンを設計した.また,外観検査のための半透明物体の表面粗さの推定,および,マルチスペクトルイメージングによる半透明物体の外観検査にも取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成30年度の計画では,水面・水底の形状復元,および,半透明物体の光学的・分光学的特性の推定に取り組む予定であった.これらに加えて,水の検出や半透明物体の外観検査などにも取り組んでいることから,当初の計画以上に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
水面・水底の形状復元,および,半透明物体の光学的・分光学的特性の推定を中心に,前年度に開発した技術をブラッシュアップする.
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