本年度は、腸管炎症の場における microRNA機能変化をモニターするためのレポーターマウスの作製を行った。CMV promoterの下流に RFP をコードする遺伝子と、その下流の3'UTRに let7 の応答配列を組み込んだコンストラクトを持つトランスジェニックマウスを作製した。今後、このマウスを用いてDSSによる腸管炎症を惹起し、microRNAの機能を一細胞レベルで検討することを予定している。 また、in vivo の実験を並行して、ヒト腸管幹細胞から分化させた air-liquid interface 培養によって、ヒト腸管上皮をmimicするin vitro モデルを確立した。すでに効果が知られている notch inhibitorを投与することで goblet cell の数が増えることがこのin vitro 再構築系でも確認できた。 潰瘍性大腸炎では goblet cell depletion が起きることが知られているが、ここで見られた表現系とは反対のことが起きていることになり、notch シグナルの亢進が慢性炎症で起きていることが想定される。 さらに、この系を用いて、TNFαの刺激下で形態的な変化が起きるかを確認した。アポトーシスの惹起についても免疫染色を用いて検討している。そのうえで、一細胞ごとのtranscriptomeの変化を見るべく、一細胞解析用の細胞単離技術を現在 樹立中である。今後 microRNAの発現状態を含む single cell analyses に向けてサンプルを調整していく。 Single cell analysis 用の細胞単離法のプロトコールも検討中である。
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