研究領域 | 共創的コミュニケーションのための言語進化学 |
研究課題/領域番号 |
18H05059
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
正水 芳人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90608530)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 向社会行動 / マーモセット / 2光子カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小型霊長類のコモンマーモセットを用いて、音声コミュニケーションをともなう向社会行動の神経基盤を解明することである。神経基盤に関しては、in vivo2光子カルシウムイメージングの系を用いて明らかにする。このためには、頭部固定状態、課題実行時に in vivo 2光子カルシウムイメージングをおこなう系を確立する必要がある。2018年度は、この実験系を確立し、論文報告した。具体的には、霊長類マーモセットを数ヵ月訓練すると、課題装置のコントローラーを操作して、画面上のカーソルを特定の位置に移動させることができるようになった(1方向/2方向到達運動課題)。次に、マーモセット大脳新皮質の運動野で神経細胞に蛍光カルシウムセンサーGCaMP6fを発現させた。このマーモセットが運動している時に2光子カルシウムイメージング法をおこなうことで、到達運動に関連する神経活動を検出する事に成功した。2方向到達運動課題では同じ神経細胞集団を12日間にわたって観察し、ある神経細胞がこの期間を通してある特定の位置へカーソルを移動させる時にのみ活動することを示した。この結果は、マーモセットに2択課題をおこなわせることが可能なことを示唆している。さらに、神経軸索や樹状突起など、細胞体よりも微小な構造の活動を課題実行時にイメージングし、行動に関連した活動を検出する事にも成功した。この結果は、様々な脳領域間での入出力のやりとりを、霊長類でも明らかにすることが可能となることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、霊長類マーモセットのための手を使う運動課題を開発し、2光子カルシウムイメージングによって運動中の神経細胞の細胞体・軸索・樹状突起の活動が計測できることを実証できたため。
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今後の研究の推進方策 |
向社会行動課題を構築し、 in vivo 2光子カルシウムイメージングで神経基盤の解明を目指す。
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