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2018 年度 実績報告書

コミュニケーション意図の推論とその非定型性に関する定量的検討

公募研究

研究領域共創的コミュニケーションのための言語進化学
研究課題/領域番号 18H05060
研究機関東京大学

研究代表者

明地 洋典  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (50723368)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード意図推論 / 語用論 / 定量化 / 非定型発達
研究実績の概要

言葉が伝える意味は、いつでも字義通りの意味であるわけではなく、発話が行われた文脈によって変化し得る。自閉スペクトラム症は「字義通りの言語」が診断的特徴の1つである発達障碍であり、自閉スペクトラム者が日常的に直面する社会的コミュニケーションの困難は、言葉を字義通りに解釈しやすい傾向によるものである可能性が考えられる。従来の自閉スペクトラム研究では、たとえば、「塩をとることができますか?」というような間接要求に対して、塩をとって応答すると1点、「はい」「とることができます」のように字義通りの解釈に対応する応答をすると0点というように得点化し、文脈を介した発話意図の推論について検討が行われてきた。より定量的に検討を行うため、自閉スペクトラム者と定型発達者による発話意図の推論に関して確率論モデルを用いて検討を行った。用いたモデルは、発話は合理的、かつ、協力的に行われるという語用論理論の前提が組み込まれたものであった。つまり、聞き手は、話し手がある文脈上で聞き手に伝わりやすい言葉を選択することを想定し、文脈的情報性に基づいて言葉の意味を解釈するということである。今回は、新奇語の意味について推論する過程について検討を行った。まず、一般の人々を対象にしたオンライン調査により、発話意図の対象の推論がモデルに沿うかどうか検討を行った。その結果、実際の推論がモデル予測とよく合っていることがわかった。そのため、この課題を実験室実験用に調整し、自閉スペクトラム者と定型発達者を対象に検討を行った。結果、どちらの群もモデルに沿った行動が見られた。字義通りの言語は、自閉スペクトラム症は診断的特徴ともなっている。しかし、今回の課題のような文脈では、自閉スペクトラム者も話し手の合理性と協力性を前提に、文脈的情報性を用いて言葉の意味を解釈していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特に問題は起こっておらず、予定通りに計画が進行中であるため。

今後の研究の推進方策

今後もコミュニケーション意図の推論過程について定量的に検討を行う。指示詞など文脈によって意味が極端に変わる言葉を用いることなどを検討している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Mind perception and moral judgment in autism2018

    • 著者名/発表者名
      Akechi, H., Kikuchi, Y., Tojo, Y., Hakarino, K., & Hasegawa, T.
    • 雑誌名

      Autism Research

      巻: 11 ページ: 1239-1244

    • DOI

      10.1002/aur.1970

    • 査読あり
  • [学会発表] 自閉症者における文脈的情報性に基づく語の意味の推論2019

    • 著者名/発表者名
      明地洋典, 菊池由葵子, 浅田晃佑, 東條吉邦, 計野浩一郎, & 長谷川寿一
    • 学会等名
      第30回日本発達心理学会大会
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症者による他者の行為に対する説明への評価2019

    • 著者名/発表者名
      浅田晃佑, 明地洋典, 菊池由葵子, 板倉昭二, 大神田麻子, 森口佑介, 東條吉邦, 計野浩一郎, & 長谷川寿一
    • 学会等名
      第30回日本発達心理学会大会
  • [学会発表] ASD 児における顔への注意と手の模倣2019

    • 著者名/発表者名
      菊池由葵子, 明地洋典, 計野浩一郎, 東條吉邦, & 長谷川寿一
    • 学会等名
      第30回日本発達心理学会大会

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公開日: 2019-12-27  

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