自然言語には、新しい物事を指すラベルとしてではなく、「遊び心」によって創られる新造語も多い。本研究は、このような「遊び心」から創られ、通常の語彙のシステム(心的辞書)に入ることなく、その周辺で次々創られては消えていく新造語は人間言語の特徴であるとみなす。そして、そのような新造語をつくる人間の能力が言語進化に果たした役割を研究する。 2年目は、新造語生成を導く「意図共有」の幅を人工言語と自然言語にみた。新しい形をもった新造語生成には、独話と対話を組み合わせた不完全な意図共有のフェーズが有効であり、完全な意図共有と両方が存在することが言語にとって重要なのではないかという仮説に、人工言語の分析からたどりついた。一方で、自然言語でこのような人工言語の実験を再現するにあたっては、オノマトペと音象徴を用いた研究が有望であると考え、そのような研究のプラットフォームを準備した。音象徴に見られるイメージは人工言語でみてきたものよりも細分化されており、複雑な新造語生成のコミュニケーションの観察が可能である。以上の研究の成果を論文や学会で発表した。
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