今後の研究の推進方策 |
上記に加えて、以下の分野の研究協力者を募り、研究を進める: 発達心理学:ヒト幼児に新規発見された「協力行動」の発達段階で a規範の形成を射程に入れてc第3者 e罰を検証する実験を3, 5歳で行い(Li & Tomasello 2017)、Gummerum & Chu 2014は8, 12, 15歳, 成人を対象にc 第3者 e 罰 ゲームを実施した。これらに欠ける「法の先駆型(から完成型への移行)」研究を行う。 法人類学:Hoebel(1954)以後、研究の蓄積はあるが、1983年のMead vs. Freemanの論争以来、《文化人類学はquantitativeな分析がないため、説得力を欠く》という批判が広がった。影響は「法人類学」にも直接及び、信頼性が低下した。その中でも、Hoebel(1954)の「法」の定義は、(bは自明として言及せず)「c 第3者」の代わりに「執行の特権を社会的に承認されて持つ個人ないし集団 」すなわち「垂直罰」を定義としているものの、和田の定義と機軸を一にする。その後のRoberts(1979)は、やはり定量的分析はないが、《法の進化の決定的要因(コンピューター・シミュレーションの可変数)の1つは、集団の資源(食料)の多寡である》という和田の現時点での仮説を強く支持する研究であり、この知見を活かして、「神経法学」の新たな実験デザインを構築する。 文化人類学(法人類学への批判を踏まえ):研究協力者・東京大学総合文化研究科博士課程2年生の土田まどかは、インドネシア・バリ島ブンカラ村という遺伝により聾唖者の比率が世界の15倍であるが「健常者」も含めて80%が手話を話す村で、数か月のフィールドワークにより手話による意図共有と芸術性の研究を開始しており、これをさらに推進する。
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