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2018 年度 実績報告書

腎臓オルガノイドを用いた細胞成熟度多様性の理解と制御

公募研究

研究領域細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御
研究課題/領域番号 18H05108
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

高里 実  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40788676)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード腎臓オルガノイド / ヒトiPS細胞 / 分化誘導 / 成熟化 / 1細胞解析
研究実績の概要

本研究計画では、「研究代表者の開発したヒトiPS細胞から腎臓オルガノイドを誘導する分化系」と「1細胞トランスクリプトーム技術」を組み合わせた実験手法により、腎臓細胞の成熟速度の不均一性が生じる原理を調べる。これを通して、ヒト腎臓発生過程の成熟速度決定メカニズムの解明を目指す。具体的には、ヒト腎臓オルガノイド形成過程の複数時点で細胞を回収し1細胞トランスクリプトーム解析を行う。解析にはt-SNE法を用い、腎臓細胞の成熟速度を可視化する。これによって、腎臓が成熟する過程で、どのようなシグナル経路や遺伝子発現がどのタイミングで増減すると成熟速度に影響が出るのかを調査し、成熟速度決定に関わる因子を同定する。
腎臓オルガノイド内部には大きく分けて、近位尿細管、遠位尿細管、糸球体、血管内皮、間質細胞の5つの細胞群が存在するが、初年度は近位尿細管に注目して、その成熟速度の解析を行った。まずは、細胞解離方法の条件検討や、免疫染色やqPCRによる細胞単離の検証実験を行った。その結果を踏まえ、腎臓オルガノイドの細胞単離を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により達成した。
次に、本研究では様々な成熟度の細胞が含まれる腎臓オルガノイドを経時的にサンプリングする必要があるので、15、19、23,27,31日目の計4時点で腎臓オルガノイドから近位尿細管を単離し、1細胞トランスクリプトーム解析を行った。1時点につき約3000個の細胞を回収した。1細胞の回収には、Chromium(10X genomics社)マシンを用いた。回収した細胞から次世代シーケンサー用cDNAライブラリを作製し、次世代シーケンサーにかけた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、腎臓オルガノイドより1細胞を回収し、そこから次世代シーケンサー用cDNAライブラリを作製し、次世代シークエンスを行うことができた。次年度にデータセットを解析する予定である。

今後の研究の推進方策

次世代シークエンスのデータセットを解析して、近位尿細管細胞が成熟化する分子メカニズムを明らかにする。次世代シークエンスで得られたマトリックスデータの解析にはt-SNE法を用い、近位尿細管の成熟経路を可視化する。これによって、各近位尿細管細胞が成熟化する過程で、どのようなシグナル経路や遺伝子発現がどのタイミングで増減するかを経時的・網羅的に調査し、成熟化速度の決定に関わる因子を同定する。次に、この成熟速度の速い(もしくは遅い)細胞で、どのようなシグナル経路や遺伝子発現が増減しているのかを調べる(pathway analysis)。この比較解析を繰り返すことで、成熟速度を制御している可能性のある因子を同定する。
最後に、上で得られた知見に基づき、同定されたシグナル経路を、同定された組み合わせを使い、同定されたタイミングで腎臓オルガノイド作成系に導入することで、実際に近位尿細管の成熟速度を任意に制御できるかどうかを確認する。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 14件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of variability in human kidney organoids2018

    • 著者名/発表者名
      Phipson Belinda、Er Pei X.、Combes Alexander N.、Forbes Thomas A.、Howden Sara E.、Zappia Luke、Yen Hsan-Jan、Lawlor Kynan T.、Hale Lorna J.、Sun Jane、Wolvetang Ernst、Takasato Minoru、Oshlack Alicia、Little Melissa H.
    • 雑誌名

      Nature Methods

      巻: 16 ページ: 79~87

    • DOI

      10.1038/s41592-018-0253-2

  • [学会発表] 腎臓再生医療研究はどこまで進んでいるか-iPS細胞からのオルガノイド作製-2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第4回生活習慣病とがんの研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 膵臓由来オルガノイドの樹立培養とISPR/Cas9による表現型解析2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      循環器オルガノイド研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 一細胞トランスクリプトームによる腎臓オルガノイド成熟化に伴う細胞不均一性の解析2018

    • 著者名/発表者名
      佐原 義基、高里 実
    • 学会等名
      新学術領域「細胞ダイバース」第2回若手ワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 3次元腎臓オルガノイドの 創薬利用への可能性と課題2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第6回動物実験代替法検討会
    • 招待講演
  • [学会発表] 腎臓再生医療はどこまで進んでいるか - iPS細胞からのオルガノイド作製 -2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      Biological Science Seminar
    • 招待講演
  • [学会発表] 3-D kidney organoids to model renal morphogenesis2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      Frontiers in Organoid Medicine Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recreating the kidney from human pluripotent stem cells2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      京都大学大学院 再生医療・臓器再建医学コース
    • 招待講演
  • [学会発表] Recreating a Kidney from Human Pluripotent Stem Cells2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      2018 International Conference on Cell-Based Clinical Application
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recreating a kidney from human pluripotent stem cells2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      Workshop on Multi-Cellular Engineered Living Systems
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 幹細胞からの腎臓再創造2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第20回生命科学研究科シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトiPS細胞から作製した腎臓オルガノイド内ダイバーシティ2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      細胞ダイバース第2回公開シンポジウム「臓器構築システムの解明に向けた細胞社会ダイバーシティー研究の最前線」
    • 招待講演
  • [学会発表] 腎臓オルガノイド作成系を利用したヒト腎臓発生機構の1細胞トランスクリプトーム解析2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第61回日本腎臓学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトiPS細胞由来腎臓オルガノイドを用いた腎薬物動態評価系の開発2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第25回HAB研究機構学術年会
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトiPS細胞を用いた腎臓再創造の試み2018

    • 著者名/発表者名
      高里 実
    • 学会等名
      第91回日本内分泌学会学術総会
    • 招待講演
  • [備考] 腎臓オルガノイドを用いた細胞成熟度多様性の理解と制御

    • URL

      http://cdiversity.umin.jp/member/kobo/takasato.html

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公開日: 2019-12-27  

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