研究実績の概要 |
本研究課題では、統合salienceモデルに基づき、高傾斜磁場・超高磁場MRIによる次世代の機能的・構造的結合性解析を通じて、統合失調症のネットワーク病態を 明らかにすることを目的としている。平成31年度は、安静時fMRI解析において、Salienceに関わる脳ネットワークが初発精神病で顕著であること、およびその動的状態が妄想形成と関わっていることを明らかにした(Scizophrenia International Research Society 2019 @ Orlando; Society for Neuroscience 2019 @ Chicago; The 10th Takeda Science Foundation Symposium on PharmaSciences @ Osaka)。そしてこれらの成果を元に、国際誌に総説を発表した(Miyata J, Neurobiology of Disease)。また、安静時fMRIデータにより作成したバイオマーカーが、異なる施設のデータでも診断に有用であり、またそれが自閉症スペクトラム障害のバイオマーカーとは異なることを明らかにした(Schizophrenia Bulletin, in press)。また予備的データであるが、動機的Salience、視覚的Salience、聴覚的Salience、Salience networkの4つが脳内で同期して活動しやすいことを、エネルギー地形図解析により明らかにした。これにより、4つのSalienceの統合から妄想・幻視・幻聴の機序を解明するという、次年度からの研究課題につながった。
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