公募研究
本研究では、水分解反応に高活性な微粒子光触媒が酸化的過酸化物生成に応用可能であるかどうかを明らかにすることを目的とする。昨年度,粒子転写法で作製したBiVO4微粒子光触媒からなる光アノードが,光電気化学的水の酸化による過酸化水素生成に活性を示すことがわかった.今年度は, Bi4TaO8ClとBi4NbO8Clに着目して過酸化水素生成が可能かどうかを検討した.また,BiVO4光アノードの過酸化水素生成選択性を向上させる表面修飾法を検討した.Bi4TaO8Cl及びBi4NbO8Cl光アノードは,二酸化炭素をバブリングした炭酸水素塩水溶液中では他の電解質水溶液に比べて高い光アノード電流を生じ,酸化的な過酸化水素の生成が期待された.しかし,過酸化水素の生成・蓄積はほとんど起こらず,生成した過酸化水素が速やかに酸化分解していると考えられた.過酸化水素の酸化分解を抑制するために,含浸・焼成による酸化物の担持を行ったが,顕著な改善は見られなかった.BiVO4光アノードに対して同様の表面修飾を行うと,過酸化水素生成の選択性は低下した.加熱中に光電極の表面が過酸化水素生成に不利な状態に変化したとみられ,より低温での表面修飾法の開発が必要である.一方,京都大学の田中庸裕教授,寺村謙太郎准教授のグループと共同研究により,Ag助触媒を担持したAlドープSrTiO3光触媒を用いると,水を還元剤として近紫外光照射下で二酸化炭素を一酸化炭素に高い選択性で還元できることがわかった.既存の二酸化炭素還元用酸化物光触媒の吸収端は350 nmよりも短波長域にあるのに対し,SrTiO3は390 nmまでの紫外光を利用できる.SrTiO3は水の酸化的過酸化水素生成を達成することはできなかったが,反応によっては比較的長波長域に吸収端波長を有する光物質変換光触媒として応用可能であることはわかった.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
ACS Applied Energy Materials
巻: 3 ページ: 1468~1475
10.1021/acsaem.9b01927
Applied Catalysis A: General
巻: 594 ページ: 117419~117419
10.1016/j.apcata.2020.117419