研究領域 | 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H05157
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八井 崇 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80505248)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近接場光 / 二酸化炭素還元 / 光学禁制遷移 |
研究実績の概要 |
提案者は、近接場光の空間的に非一様な光の場(非一様光場)の特長を活かすことで、従前の光応答では不可能であった新奇かつ有用な光励起が可能であることを実証してきた。従前の光化学反応において、光は空間的に一様な光の場として捉えられおり、この光化学反応に対して、非一様光場を反応過程に用いることが出来れば、従来とは本質的に異なる新奇光機能化学反応の創生が期待できる。本研究では、この非一様光場による光励起技術を用いることでCO2還元効率の大幅な向上実現を目的とする。非一様光場が誘起されることにより、光学禁制である分子の中間準位である分子振動準位の励起が可能となるため、分子の吸収端エネルギーよりも低エネルギーの光子によって光励起が可能となる。 本構想を実現するために、本年度は近接場発生光源として、アルミナ粒子表面に金ナノ構造(直径1nm)を固定し、さらにこの構造にCO2還元材料としてレニウム錯体の固定を行い、これによるCO2還元効率の効果を確認した。 まず、吸収スペクトルの測定を行うことで、金ナノ構造があることによって、レニウム錯体中のMLCTに起因する吸収ピークの増大を確認した。また、レニウム錯体の吸収端の長波長化を確認した。これについて、第一原理計算による解析を行ったところ、近接場光誘起による電場増強の効果を確認し、これによってMLCT遷移が増大することを明らかにした。さらに、近接場光誘起によって光学禁制遷移の励起増大を確認した。 さらに、この構造を用いたCO2還元実験を行った。還元には、MLCT遷移に起因する波長帯での実験を行った。その結果、金ナノ構造によってCOへの反応速度の増大を確認することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、レニウム錯体の吸収スペクトルの変化の確認までを予定していたが、実験系の改良によって、二酸化炭素還元の確認実験までを行うことに成功した。 また、理論的にも第一原理計算による解析を行うことで、これまで得られたMLCT遷移の増大と、吸収端の長波長化の効果を定性的に説明する原理を明らかにすることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
金属錯体を母材に吸着させる際、これまで脱プロトン化による化学吸着を行っていたが、これによる吸収スペクトルの変化があった。そこで、この脱プロトン化によらない、吸着法を用いることで、より明確な近接場光励起の効果を明らかにする。 また金微粒子について、濃度、およびサイズ依存性の評価を行い、二酸化炭素還元効率の高効率化を目指す。
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