研究領域 | 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H05184
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
秋山 賢輔 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 化学技術部, 主任研究員 (70426360)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 半導体複合粒子 / 鉄シリサイド / 光触媒 |
研究実績の概要 |
本研究は、太陽光スペクトルの近赤外域まで利用可能とする光触媒材料、及びシステムの構築を目指して、光電変換材料として研究開発されてきた鉄シリサイド(β-FeSi2 )半導体と炭化シリコン(SiC)、及び酸化チタン(TiO2) 等のワイドギャップ半導体とが導電層を介して接合した半導体複合粒子を気相成長技術にて創製することを目的とする。 この半導体複合粒子の合成法には、液相を介してβ-FeSi2 結晶を合成させる気相-液相-固相(VLS)成長機構が重要となる。これまで金(Au)‐シリコン(Si)系共晶反応による融液を用いたβ-FeSi2 結晶の気相合成を報告してきたが、より高品質なβ-FeSi2 結晶合成に向けて銀(Ag)‐シリコン(Si)系の融液相を用いた合成を見出し、その成長機構を明らかとした。更にこの気相成長技術を用いて、粒径が数μmのSiC粉末表面に50~100nmのβ-FeSi2 結晶が分散した複合粒子を合成し、この半導体複合粒子の光触媒効果による水からの水素(H2)、酸素(O2)の発生を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化コバルト(CoOx)ナノ粒子の担持方法の最適化にて、炭化シリコン(SiC)の水中での光酸化抑制、及び酸素(O2)発生促進の効果が確認された。立方晶の3C-SiC、及び六方晶の6H-SiCの粉末表面に金(Au)層を介した鉄シリサイド微粒子が分散した半導体複合粒子の合成を実現した。さらにこの高圧水銀ランプによる紫外光照射下において、この複合粒子の光触媒効果による水分解からの水素と酸素発生を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
酸化物光触媒のルチル型酸化チタン(TiO2)と鉄シリサイド(β-FeSi2 )半導体とが金(Au)層を介したヘテロ接合構造を持つ複合粒子を創製し、光触媒特性を評価する。TiO2粉末試料表面に予めAu層をコートすることで、気相成長するβ-FeSi2 結晶がAu層上に選択的に合成される気相-液相-固相(VLS)成長機構にて、Au層を介したヘテロ接合を形成する。β-FeSi2 粒子の密度、サイズを制御し、この半導体複合粒子の光照射下での水分解による水素(H2)、及び酸素(O2)発生速度を評価する。
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