研究実績の概要 |
IPRという市民の越境的ネットワークの国際政治への影響を関係各国政府および国際機関がどのようにとらえていたかを明らかにするため、オランダ国立公文書館および国際連盟文書館において史料調査を実施した。 当初2020年3月に予定していた国際ワークショップをCOVID-19による影響で2021年11月に延期し、2021年に予定していたオーストラリア国立大学で開催することを予定していたワークショップの一部と合わせて遠隔会議方式で実施した。 セッション1では、酒井啓子「グローバル関係学とは」、赤見友子「歴史的な生成物としてのIRとその限界性:International, colonial,とareaの歴史的関係史の視点から」、芝崎厚士「グローバルなネットワークのなかの日本の国際関係研究―国際文化交渉論からの考察」の3報告により、「グローバル関係学」の中に戦間期国際関係を位置づけた。セッション2では、帯谷俊輔「戦間期アジア太平洋の多国間主義―ナショナリズム、帝国主義、国際主義、トランスナショナリズムの交錯」、齋川貴嗣「国際連盟知的協力国際委員会と日本・中国―近代と反近代の交錯」、高光佳絵「カナダの自律化とトランスナショナル・ネットワーク―英米の触媒として」の3報告により戦間期アジア・太平洋をinternational, colonial, transnationalの要素が交錯する場として論じた。セッション3では、河原地英武「ソ連と中国東方区部」、石田憲「地中化におけるヨーロッパ内植民地―ドデカネス諸島をめぐる新たな帝国主義と抵抗運動のグローカル・ネットワーク」、堀内暢行「日本IPRの復帰と共通理念の再構築」の3報告により、他地域の研究状況を参照し、包括的な議論を行った。
|