研究実績の概要 |
本研究は国内エピステミック・コミュニティ(National Epistemic Communities、国内知識共同体)と国際政策協調の理論(Adler, 1992)をベースに、異なる政治体制における国内知識共同体の比較優位性と外交政策における相互認知再形成との関連性の理論枠組みを構築した。そして、米中、日中関係の事例を用いて実証研究し、グローバル秩序変動期に国内知識共同体と国際関係における相互認知再形成のメカニズムを解明した。さらに、研究代表者は研究のプロセスの中で、国内エピステミック・コミュニティと認知再形成の枠組みで朝鮮半島非核化をめぐる「六者協議」とミャンマー政治転換の事例にも極めて有用であることとの新発見があった。これによって、今回の研究は日中、米中関係のみならず、グローバル課題の解決に向け国内知識共同体と政策との関連性への理解を深めることができ、今後の研究の新たな広がりへの方向性も発見した。 研究成果として、単著『日中相互不信の構造』(東京大学出版会、2020年12月)を出版した。学術論文としては、Journal of Contemporary China、『国際政治』、China: An International Journalなどの国内外の国際関係分野における有力な学術誌に掲載された。新型コロナ感染拡大に伴い、海外への渡航が困難な状況になり、オンライン会合を活用し、論文発表等を行った。国際政治学会、日中韓三カ国協力機構などの学会、国際会議、招聘講演に積極的に報告を行った。
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