研究領域 | グローバル秩序の溶解と新しい危機を超えて:関係性中心の融合型人文社会科学の確立 |
研究課題/領域番号 |
19H04515
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
玉置 敦彦 中央大学, 法学部, 准教授 (50772480)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リベラルな国際秩序 / 同盟 / アメリカ / 日本 / グローバル |
研究実績の概要 |
本研究は、1960年代末以降のアジア太平洋地域を事例に、国境を越える政治秩序の形成について解明することを目的とする。現代のアジア太平洋における政治秩序の起源はどこにあるのか。大国アメリカの「リベラルな国際秩序」構想はどこまで現代のアジア秩序の在り方に影響を与えているのか。アメリカと、日本をはじめとしたアジア諸国や非国家主体との相互作用を検討することで、明らかにする。 本研究は、圧倒的な国力と影響力を持つアメリカの秩序構想が、必ずしもそのまま実現したわけではなく、むしろそれを基盤としながら相互作用の中で変容したという点に注目している。2019年度は、とりわけ日本の構想と役割に注目して、その特徴を描き出すことに焦点を置いた。 具体的には、本研究の基本的なアイディアの理論的な概要をまとめつつ、国内外の学会・研究会において、報告を行った。多くの国々からの参加者が参加した国際学会における論文執筆・報告を行い、有益なフィードバックを得ることができた。ただし、COVID-19の拡大に伴って、3月に予定していた国際学会が中止となり、報告の機会を逸したことは残念であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、当初予定していた通り、アジア太平洋における秩序構想についての検討をすすめることができた。特に、日本に関しては、基礎的な調査を進めるとともに、予定していた学会・研究会報告を行い、有益なフィードバックを得ることができた。また、アメリカについても、一定の調査を進めることができており、日米両国の秩序構想という点については順調な進展があったと言える。 これに対して、やや進捗が不十分であったのは、理論的な検討である。各国の秩序構想ではなく、アジア太平洋における秩序そのものをいかに概念化し、理解するのか、この点についての調査は必ずしも予定通りに進まなかった。2020年度の課題としたい。 また、「研究実績の概要」でもふれたように、2019年度の段階で、すでにCOVID-19の拡大は、学会報告が中止となるなど、研究の進捗に無視できない影響を及ぼしていたことも確認しておく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、2020年度には、2019年度における二次資料・理論を踏まえた基礎的な調査を踏まえて、海外における史料調査及び学会・研究会報告に取り組むことを予定していた。 しかしながら、COVID-19の拡大によって、当面、海外における調査や学会・研究会報告は難しくなったと判断することが妥当であろう。さらに、COVID-19の拡大は、オンライン授業の実施に伴う業務量の増大など、本研究に割けるエフォートにも影響を及ぼしている。こうした状況に加えて、2019年度に理論的検討に弱化の遅れが生じていることを考慮し、2020年度には、理論的検討と二次文献及びオンライン資料を用いた事例研究を中心として研究を進めることを予定している。
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