平成27年度から平成30年度にかけて研究代表者として基盤B「ビッグデータ先導型紛争研究:紛争の潜在的加害者の見える化」を実施し,紛争地と我々との経済的なつながりをデータ科学(ビッグデータ・複雑ネットワーク科学)で数理的に明らかにしてきた.本研究課題では,この成果を応用して,国際政治学者とともに政策応用できる形で紛争に対する複雑な社会的責任を見える化する基盤を構築した.具体的には,(1)グローバル化により我々の財や金融商品の購入が紛争被害に及ぼす影響の計測と指数化,(2)グローバル経済ネットワークにおいて紛争主体と接続することで得られる利潤の計測と指数化,(3)グローバルな資本流入による民族間の紛争リスクの計測と指数化,(4)紛争や対立抑止に関する政策の科学的支援をおこなった.(1)と(2)では,投資信託などの金融商品とアンチESG企業とのグローバル株所有ネットワークを通じた繋がりを明らかにした.繋がりの指数化を,アンチESG企業の経営に与える影響力と,アンチESG企業から得られる配当からおこなった.(3)では,外国政府によるグローバル株所有ネットワークを通じた間接的な基幹産業支配の状況を明らかにし,可視化するWebアプリケーションを開発した.(4)では,アンチESG企業の経営に与える影響力と,アンチESG企業から得られる配当との差異から,紛争や対立抑止に効果的な投資の判断をくだせる仕組みを提案した.
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