研究領域 | パレオアジア文化史学ーアジア新人文化形成プロセスの総合的研究 |
研究課題/領域番号 |
19H04526
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 古代ゲノム / 古人骨DNA / ゲノム網羅的SNP解析 / 古人骨 / 少数民族 / sex-biased migration |
研究実績の概要 |
【研究概要】狩猟採集社会から農耕社会への移行期に当時のヒト集団がどのようなゲノム多様性の変化を経験したか?ヒト集団を対象としたゲノム解析をおこない、生業形態と集団ゲノム構造の共進化プロセスを明らかにする。 【研究目的】狩猟採集社会から農耕社会への移行は、ヒト集団のゲノム多様性に大きく影響したと予想される。狩猟採集社会から農耕社会への移行の際に人口増加がおこることは遺伝学的にも研究されてきた。本研究の大目的は、狩猟採集から農耕への移行期に、当時のヒト集団が、たどる人口動態およびそれによるゲノム多様性の変化を明らかにすることである。たとえば縄文時代(狩猟採集期)から弥生時代(農耕期)への移行期のヒト遺物(古人骨)から得られたDNAのゲノム解析をおこない、狩猟採集社会から農耕社会への移行に際しての集団ゲノム構造の変化を明らかにすることを目標とする。 【研究計画実施状況】 縄文後晩期の文化を伴う愛知県田原市伊川津貝塚遺跡出土人骨(IK002)から得られたドラフト全ゲノム配列データの詳細な解析をおこなった。その結果、(1)IK002の祖先は、ヒマラヤ山脈以南のルートを通ってきた人々の子孫であった。また、(2)IK002には、ヒマラヤ山脈以北のルートを通ってきた人々の混血の痕跡は見つからなかった。しかし、これらの結果はIK002という個体について言えることで、すべての地域・時代の縄文人については、言えない。今後、より多くの縄文人骨のゲノム解析を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた南米ボリビアのミイラ由来古人骨の全ゲノム配列解析およびタイ少数民族のゲノム網羅的SNP解析が遅れている。これは、担当したポスドクの来日が難しくなったことなどが、その要因である。
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今後の研究の推進方策 |
ボリビア古人骨の全ゲノム配列データおよび現代タイ少数民族のゲノム網羅的SNPデータは既に得られている。これらのデータ解析を加速させ、さらに新たな縄文人個体から得られた全ゲノム配列データの解析を進める。
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