公募研究
本研究における最大の達成目標としていた中央アジア西部における初期後期旧石器時代(IUP期)の石器群の解明については、カザフスタン及びタジキスタンにおける野外調査により概略を把握することが出来た。2019年7-8月のカザフスタン南部カラタウ山地におけるチョーカン・バリハノフ遺跡第8-10文化層の発見により、この地域では最古となる4万年前の大型石刃のインダストリーを新しく検出することが出来た。立体剥離型の大型石刃核を検出するとともに、ルヴァロワ並行剥離による平面剥離型の石刃核の共存を確認した。さらに4万年前の放射性炭素年代値を得ることが出来た。これは天山北麓地域の最古の後期旧石器時代遺跡でありIUP期終末の年代値となる。これに加えて、2019年10月にタジキスタン南部のザラフシャン山脈南麓のフッジ遺跡においてタジキスタン科学アカデミーと奈良文化財研究所による共同発掘調査を実施した。その結果、約3000点の石器と獣骨、炭化物が厚さ5.5mのレス堆積に4枚の文化層に分かれて包含されていた。地床炉の木炭から放射性炭素年代測定による4万5千年~4万7千年前の年代値を得た。中央アジア西部のIUP石器群は、アルタイとくらべて大型石刃生産技術にルヴァロワ技法の影響が少ない点や尖頭器の形態組成に違いがあるなど、部分的には地域的な特徴を示す。しかし大型石刃生産、小石刃生産、尖頭器生産という3セットを基本とする石器群であり、アルタイIUPと共通する石器組成と技術組成を示すことが判明した。さらに古日本列島へのIUP石器群の影響を評価するために長野県香坂山遺跡の発掘調査を2020年8-9月に実施した。その結果ユーラシアIUP石器群の系譜が列島の後期旧石器時代初頭に到来した証拠とみられる石器群を新たに把握した。現生人類のユーラシア北回りの拡散の波が列島に及んでいた可能性を示唆するものとみられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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アジアにおけるホモ・サピエンス定着プロセスの地理的編年的枠組みの構築
巻: 5 ページ: 11-20
旧石器研究
巻: 17 ページ: 125 - 146
Quaternary International
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第21回北アジア調査研究報告会
巻: 21 ページ: 9-12
アジアにおけるホモ・サピエンス定着プロセスの地理的編年的枠組み構築
巻: 4 ページ: 9-15
Вопросы Этноархеологических Исследований и Межэтнических Отношений Великой Степи
巻: 1 ページ: 327-331
巻: 16 ページ: 59-78
巻: 16 ページ: 19-42
International Scientific and Practical Conference;History and Culture of the Great Steppe; in Kazakh National University
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Communications of the Palaeo Perspective
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https://researchmap.jp/kunitake
https://www.researchgate.net/profile/Sadakatsu-Kunitake-2