研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04564
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内田 さやか 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10361510)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イオン結晶 / 複合材料・物性 / 分子性固体 |
研究実績の概要 |
前回の本新学術領域公募研究において、ナトリウムを中心金属イオンに用いたプレイスラー型ポリオキソメタレート(無機金属酸化物クラスター)と高分子(ポリアリルアミン、PAA)からなる結晶性複合体について、結晶構造とプロトン伝導性について報告した。本研究では、平均分子量が異なるPAA(1600、3000、5000)を用いたプレイスラー型ポリ酸との結晶性複合体を合成し、それぞれの複合体について、プロトン伝導度測定を行った。その結果、PAAの分子量を変化させても同一の結晶構造を示し、結晶格子内に閉じ込められたPAAのモノマー(単量体)の数も変化しないことがわかった。PAAの平均分子量の違いに関わらず10-3 S/cmオーダーの高いプロトン伝導度を示したが、13C核の固体核磁気共鳴シグナル面積の接触時間依存性から緩和時間を算出することによりプロトン伝導を担うPAAの運動性を調べたところ、PAAの分子量が小さくなるにつれてPAAの主鎖の運動性が減少し、側鎖の運動性が増大することが明らかとなり、今後のプロトン伝導体の設計の一助となる結果が得られた。この結果をうけて、プロトン伝導を担う水分子を多く配位できるランタノイドイオンを複合体に導入した。その結果、単結晶X線回折測定による構造解析に成功しており、ランタノイドイオンの周囲に6から10分子の水分子が配位する様子を捉えた。今年度は、固体のキャラクタリゼーションと伝導度測定を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要の前半部に示した内容が学術論文として掲載され、この成果を生かした次のテーマが開始できているので。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、COVID-19の影響により実験はかなり遅れてしまっているが、プロトン伝導を担う水分子を多く配位できるランタノイドイオンの導入に成功しており、今後、固体のキャラクタリゼーションと伝導度測定を進めていく予定である。
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