研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04565
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山本 浩二 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70647198)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非対称構造 / 金属クラスター |
研究実績の概要 |
メタロセン型錯体は有機金属化学における重要な化合物群であり、メタロセン骨格に基づく触媒や材料開発が精力的に行われている。これまで、メタロセン型単核錯体は前周期遷移金属のみに対して触媒設計に採用されてきた。一方、後周期遷移金属における単核サンドイッチ錯体群は18電子則の制約が足かせとなり、基質を金属中心上で受容する能力がないため、金属中心を反応場や分子認識場などの物性発現のプラットフォームとすることが困難であった。本研究では、配位子受容能を有するサンドイッチ錯体による非対称配位圏を構築する事を目的としている。本年度は5員環複素芳香環化合物を用いた二核サンドイッチ錯体の構造骨格に基づいたキラル構造の構築に取り組んだ。まず、パラジウム二核錯体に対して5員環複素芳香環化合物を架橋配位させることによって、チオフェンやセレノフェン二核サンドイッチ錯体およびセレノフェン五核サンドイッチ錯体の合成を行った。チオフェン二核サンドイッチ錯体およびセレノフェン五核サンドイッチ錯体についてはX線結晶構造解析によってその構造を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非対称配位圏を構築するにあたって鍵となる錯体合成および構造解析に成功した。今後、プロキラルな複素芳香環化合物を架橋配位せることによって、非対称構造の構築および構造に基づく物性や反応調査へと展開する予定である。これらの成果から本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、5員環複素芳香環化合物を用いた二核サンドイッチ錯体の構造骨格に基づいたキラル構造の構築を目指す。パラジウム二核錯体に対して、置換基を有するプロキラルな5員環複素芳香環化合物を架橋配位させることによって、C2対称二核サンドイッチ錯体の合成開発に取り組む。合成する二核錯体は5員環複素芳香環化合物上のヘテロ原子が他の遷移金属中心に配位可能であり、超分子構造等への新しい物質科学を開拓するよい材料になり得る。また、C2対称構造を用いて、不斉分子認識場や不斉反応場の構築へと展開していく予定である。
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