研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04580
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多孔質構造 / 電荷補助型水素結合 / 自己組織化 / らせん / 超分子 |
研究実績の概要 |
本研究では、複数種の有機分子を階層的かつ自律的に組み上げることによって超分子多孔質構造を構築し、化学修飾により配位性部位を空孔表面に露出させることで目的に応じた触媒金属を導入して、空孔内に高度に制御された反応場を構築することを目的としている。 ポルフィリンを母骨格としたテトラスルホン酸(TPPS)と嵩高いアミン(トリフェニルメチルアミン:TPMA)から構成される有機塩を、電荷補助型水素結合により階層的に組み上げることで多孔質構造を構築した。さらにF、Cl、Br、Iを導入したTPMA誘導体を合成し、TPPSと多孔質材料を作成したところ、もとのTPMAと同様に基本となるネットワークが形成され、これらがTPMAに導入したハロゲンの立体反発により、過剰な相互貫入が抑制され、大きな空孔径をもつ多孔質構造を構築することができた。空隙率は、もとのTPMAの2回相互貫入型が22%であったのに対し、今回得られたものはF: 62%、Cl:61%、Br: 63%、I: 57%と劇的に拡大していた。また空孔径は約2nm程度あり、空孔表面にポルフィリン平面が露出していることから、反応サイトとして十分な空間を有している。 さらにガス吸着を行ったところ、Fが置換されたものはCO2、O2、H2を吸着したが、Cl、Br、Iが置換されたものはCO2のみを吸着することが分かった。これは表面形状やハロゲンによる空孔表面の修飾効果であると考えられる。さらにポルフィリン部位にパラジウムやコバルト、鉄などの金属導入後も同形の多孔質構造を形成させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応場として多孔質空孔を用いるためには、分子を取り込むことのできる大きな空孔が必要となる。多孔質を構築するTPMA分子の設計を工夫することで、これまでのおおよそ3倍近くの大きさをもつ多孔質有機塩を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
同じptsネットワークトポロジーを基本としながら、平面分子を歪ませることで、空孔に非対称性を導入し、アシンメトリックナノ空間の創出を行う。
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