研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04585
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
灰野 岳晴 広島大学, 理学研究科, 教授 (80253053)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ビスキャビタンド / 超分子ポリマー / グラフェン / 近赤外発光 / らせん / 水クラスター |
研究実績の概要 |
本領域は,集積型錯体や配位空間の構造や電子状態の非対称性・キラリティーから構造・機能・物性の異方性や指向性を有する新機能分子・材料を創成することを目的に,カリックスアレーンやポルフィリン,フラーレンを用いたキラルな超分子構造を構築してきた。これまでの実績について概要を報告する。 ビスキャビタンド分子の合成に成功し,この分子がらせん構造を有しており,二つのキャビティーが立体的に相互作用していることを明らかにした。また,キャビタンド分子の分子認識には,強い協同性が見られた。エントロピーにより駆動される協同性であることを明らかとした。この原因は,二つのキャビティーに,十二個の水分子がクラスターを形成しており,水の脱溶媒和が協同性発現を誘起していることに由来することを明らかにした。複数のポルフィリンを組み込んだモノマー分子の自己集合により形成される超分子ポリマーは,重合の初期過程で環状オリゴマーを形成することが示唆されていた。我々は,この環状オリゴマーの形成を実験的に確認し,オリゴマーの安定性が超分子重合を駆動する大きな因子となっていることを発見した。金属配位により自己集合する超分子カプセルのらせん反転が,配位場を形成する置換基により大きく影響を受けていることを見出した。グラフェンの周囲をキラルな置換基で修飾によりグラフェンのπ共役平面をキラルにねじることに成功した。また,グラフェンの周囲を修飾することで近赤外に発光する炭素薄膜材料を開発することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したビスレゾルシンアレーンの合成に成功し,新たな超分子重合を見出すことができたので研究計画通り概ね順調である。エントロピー駆動による新たな協同的分子認識を見出すことができ,キラルなグラフェンの創製にも成功したので,計画通り研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,計画通りキラルなカリックスレゾルシンアレーンカプセルポリマーを利用した不斉増幅現象について検討を行い,新たな不斉制御システムの開発に邁進していきたいと考えている。現在,グラフェンの表面をキラルにねじることに成功しておりこれを利用した触媒系の創製にも展開する。さらに,非線形光学応答を示す超分子ポリマーの合成にも成功しており,これらを利用した新規不斉増幅触媒の開発も検討する。
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