研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04587
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
堀内 新之介 長崎大学, 工学研究科, 助教 (50755915)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発光性超分子 / 非共有結合性相互作用 / 水素結合 / 配位結合 / キラル / 円偏光発光 / 多核サンドイッチ錯体 |
研究実績の概要 |
自然界では複数の相互作用が協同的に作用し,生命活動を支えている。自然界で達成されている高度な分子システムを人工系でも達成するためには,協同的な相互作用の仕組みを理解し,利用することが近道と言える。本研究では,我々のグループが見出した多核サンドイッチ錯体および錯体内包型発光性超分子の合成法を基礎として,複数の非共有結合性相互作用・可逆な結合を協奏的に利用した,非対称な超分子構造体の構築と非対称構造に由来する新奇光機能開拓を目指す。 本年度はまずはじめに,キラルなサンドイッチ型Ag3錯体の合成と性状解明を行なった。平面型Pt錯体をAg3クラスターの配位子として用いることで,Ag3クラスターが2つのPt錯体ユニットにサンドイッチされた多核錯体が得られた。この錯体は溶液中で様々な柔軟な構造変換を示した。また得られたサンドイッチ型Ag3錯体はエナンチオマー混合物であるため,適切なキラルアニオンを加えることで光学分割も達成した。一方で,キラルIr錯体を用いることで円偏光発光を示す錯体内包型発光性超分子が得られることも明らかにした。これらの研究は現在,海外研究機関と国際共同研究を進めており共著論文の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,キラルなサンドイッチ型Ag3錯体とキラルな錯体内包型超分子の合成法の確立,およびその予備的な構造・光物性を明らかにできた。これらの結果は,我々のグループが見出した超分子化合物の合成ストラテジーが,本領域で推進する分子・集積・空間アシンメトリーの創出に有効であることを明確に示すものである。このことから現在までの進捗状況は,おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本年度明らかにした2種類の超分子構造体の論文データを集めつつ,新奇な構造を有する非対称性超分子構造体の合成とその性状解明を行う。また,海外研究機関との共同研究も継続的に行い,我々のグループで確立してきた超分子構造体の合成ストラテジーの有用性を多方面にアピールしていく予定である。
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