公募研究
申請者らは,これまでの研究で見出したアキラルな多核サンドイッチ錯体および錯体内包型超分子の合成手法を基に,非対称化・キラルをキーワードとして新規発光性分子集合体の創出とその非対称な構造に由来する新奇な光機能の調査を行った。初めに,令和元年度に得られたキラルなサンドイッチ型Ag3錯体の合成とそのキラルな光物性に関する研究をまとめ,学術論文を発表した。キラルなサンドイッチ型多核錯体の光学分割を達成し,円偏光発光を観測した初めての報告例となり,Chiral-at-clusterという新規概念を実証するとともに,多核サンドイッチ構造体が円偏光発光を示す発光素子として利用可能であることを報告できた。その後の研究では,異なる2種類のアセチリド配位子を持つ平面型Pt錯体と銅イオンを用いて多核サンドイッチ錯体を合成したところ,金属イオンが螺旋型に配列したマルチデッカー型の混合金属錯体が得られることを見出した。右巻螺旋および左巻螺旋の鏡像異性体が確認され,Chiral-at-clusterに分類される新たな多核サンドイッチ構造体の合成手法を提唱できた。多核サンドイッチ錯体の研究に並行して,非対称な錯体内包型超分子に関する研究を行った。用いる金属錯体の置換基サイズを大きくしたところ,金属錯体の分子形状にマッチするように水素結合性ホストの構造が変化(Induced-fit)することを見出した。得られた超分子の分子対称性を領域内共同研究で調べたところ,最も分子対称性が低いC1対称であることを確認した。用いた金属錯体は2種類の光学異性体の混合物であるため,次に光学分割したキラルな錯体を用いて超分子錯体を合成し,超分子形成前後でキラルな光物性がどのように変化するかを調べた。その結果,超分子形成に伴う分子非対称化によってキラル錯体から観測される円偏光発光の異方性因子glumが向上することを確認した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件) 備考 (4件)
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