研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04592
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
酒井 隼人 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60708486)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MOF / 一重項分裂 / 配位子交換 |
研究実績の概要 |
MOFでこれまで報告例のない一重項分裂(SF)発現、空間利用と空間制御による新規光機能発現を目指す研究である。本研究の基盤となるMOFはSF発現可能なアセン系分子にカルボキシ基やピリジニル基といったをMOFに展開可能なユニットを導入し、この分子を用いてMOFの合成することとした。金属元素として、銅および亜鉛を用いて合成の検討を行った。MOFの代表的な手法であるソルボサーマル法を用いて検討した。温度、等量ならびに時間を検討し、条件の最適化に成功した。 得られたMOFの内部構造はX線および吸収スペクトル測定により決定した。単結晶構造から得られたXRDのシミュレーションと得られたXRDのシグナルパターンを比較検討し、内部構造を決定した。また吸収スペクトル測定から、色素の配列角度やパターンを決定した。 高速分光の測定を行い、SF発現を評価した。交換交差よりも早い時間帯で三重項状態の生成が確認されたことからSF発現を確認およびMOFの励起ダイナミクスに関して解明した。その結果を用いて、三重項量子収率を決定し、MOFを構築することによるSFの効率に関して知見を得た。また三重項励起子の寿命に関しても評価し、生成した励起子の利用が可能か評価した。 SF発現可能なMOFの合成に成功したので、現在、SF発現と配位子交換による空間制御が可能な新規機能性MOFの合成を目指し、交換可能な軸配位子の合成検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的としては、今年度には配位子交換により、中心の空間制御可能な不斉配位子およびアキラル配位子の合成を完了し、MOFの合成に着手する予定であった。これはSF発現可能なアセン分子が不安定でMOFの合成条件に耐えられず分解したためである。そのためMOF合成の条件最適化に時間がかかったためである。現在、その問題点を改善し、配位子の合成に着手し始めているが、当初の計画よりやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、不斉配位子の合成に着手しており、合成した配位子とSF発現可能なMOFに用いたアセン配位子を利用し、SF発現可能な不斉MOFを合成する。不斉MOFへと展開することでSFの特性変化および不斉特性を評価する。次にアキラル配位子を加え、中心の不斉空間からアキラル空間への空間制御を検討する。次に配位子交換に伴う物性制御にかんして評価する。
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