公募研究
チオラート(SR)で保護された金(Au)クラスターやAuナノ粒子合成において、その合金化に関する研究は近年特に進んでいる。これらのAuナノ材料合成における重要な中間体となるAu-SR錯体は、Au親和性相互作用によって自己組織化することでAuポリマー[Au(SR)]nを生成する。しかし、このようなAuポリマーに異元素をドープさせた合金ポリマーについては、その報告例は多くない。ここで、配位子場理論に基づくと、Au(I)とPt(II)は、Sと異なる配位数をとると考えられる。そのため、これらを合金化できれば、[Au(SR)]nとは異なる結合様式を有した新規な合金ポリマーが創製できると考えられる。そこで、本研究では新規AuPt合金ポリマーの合成を目指した。具体的には、既報の[Au(SR)]n合成法をもとに、Au : Pt = 2 : 1のDMF溶液を120℃で18時間撹拌することでAu/Ptポリマーを得た。Auポリマーの粉末X線回折(PXRD)パターンには、既報2)と同様に5°付近に特有のピークが現れた。しかし、Au/Ptポリマーでは5°付近のピークは観測されず、新たに7°付近にピークが観測された。さらに、SEM-EDX測定の結果から、得られた粉体内の結晶はキューブ状で、各元素(Au, Pt, S)は均一に分布していることが確認された。ICP-MS、XPSからも、それらを支持する結果が得られ、現在、リートベルト解析による結晶構造の解明に取り組んでいる。異なる嵩高さを有する配位子を用いてAu/Ptポリマーを合成した場合には、各粉体の金属比率は嵩高さの違いによらずおおむね一定であったが、結晶の形は大きく変化した。配位子の嵩高さが変化すると結晶が棒状ではなくキューブ状に成長していくことが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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