研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04596
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
湯浅 順平 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 准教授 (00508054)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異方性積層 / キラル希土類錯体 / 円偏光発光 / 環状ヘリケート / 高配位数錯体 / 非対称性 / 多核希土類構造 / 次元性 |
研究実績の概要 |
本申請研究の目的は、キラル希土類錯体の集積構造の次元性を拡張し、円偏光発光などの光学現象を基盤とする新機能創出をすることである。f-ブロック元素の希土類金属は8-12配位の高配位数の錯体形成が可能である。そのため一般的な遷移金属錯体に比べて希土類錯体は複雑な配位構造と立体化学をもつ幾何異性体や鏡像異性体が存在する。このような希土類錯体の特異な立体化学に着目することで、遷移金属錯体には見られない新奇構造探索、ユニークな異方性積層構造の構築が可能である。このような希土類錯体の高配位数に着目して申請者は、新規環状ヘリケート構造の構築に成功しており(前期公募研究成果:J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 3683)、この環状ヘリケート構造を本申請研究の基盤をなす鍵構造体として一連の異方性集積構造の開発をおこなった。その結果、環状ヘリケート構造と類似の構造をもつ一連の多核超分子希土類構造を構築することに成功した。それらの構造体の大部分は単結晶x線結晶構造解析からその構造を明らかにしており、先行研究で開発した環状ヘリケート構造とは異なった非対称性とユニークなトポロジーをもつ構造を明らかにしている。さらに密度汎関数法(DFT法)によって、単結晶x線結晶構造解析により明らかになった新規構造の計算モデリングをおこなった。その結果、DFT法によって得られた計算構造は概ね、単結晶x線結晶構造解析によって決定した錯体構造と良い一致をもつことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キラル希土類錯体の集積構造の次元性を拡張し、円偏光発光などの光学現象を基盤とする新機能創出をすることを目的に本研究をおこなった。その目的を達成するために、今年度(2019年度)は主に前期公募研究成果(J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 3683)で得られた希土類イオン核4つから構成される環状ヘリケート構造の拡張、多様化を目的に研究を展開した。その結果、環状ヘリケート構造と類似の構造をもつ一連の多核超分子希土類構造を構築することに成功した。それらの構造体の大部分は単結晶x線結晶構造解析からその構造を明らかにしており、先行研究で開発した環状ヘリケート構造とは異なった非対称性とユニークなトポロジーをもつ構造を明らかにした。また密度汎関数法(DFT法)によって、単結晶x線結晶構造解析により明らかになった新規構造の計算モデリングを遂行した。今年度に得られた重要な知見の1つとして、単結晶x線結晶構造解析によって決定した錯体構造とDFT法によって得られた計算モデル構造との間には良い一致があり、今後DFT法による計算モデリングを積極的に利用した多核希土類錯体の設計指針の確立が可能であることを示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、今年度(2019年度)の研究成果として環状ヘリケート構造と類性をもつ一連の新規多核超分子希土類構造の構築に成功した。また今年度に得られた重要な知見の1つとして、上述のように単結晶x線結晶構造解析によって決定した錯体構造とDFT法によって得られた計算モデル構造との間には良い一致があり、今後DFT法による計算モデリングを積極的に利用した多核希土類錯体の設計指針の確立が可能であることを示唆する結果が得られた。今後はこの知見をもとに、DFT法による計算モデリングによって網羅的にキラル希土類錯体構造の設計と、合理的な分子デザインに基づく新規構造の探索を行うことでキラル希土類錯体の集積構造の次元性を拡張する。具体的には1次元性の異方性集積構造に適した多核キラル希土類錯体のデザインと合成を行う。得られた錯体は単結晶x線結晶構造解析によって、その構造を明らかにした上で、貧溶媒法による錯体の集積化をおこなう。
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