研究実績の概要 |
本研究では、新しい光学活性有機および有機-メタルハイブリッド発光体の創製および円偏光発光(CPL)特性を有する有機EL(CP-OLED)材料の開発を試みた。 まず、軸不斉を有するBINAP配位子と面不斉を有するPhanephos配位子を用い、ランタノイドTb(III)錯体と組み合わせることにより、光学活性有機-Tb(III)ハイブリッド発光体の作製を試み、アセトンおよびクロロホルム溶液中における、CPL特性について検討した。 BINAP-Tb(III)ハイブリッド発光体では、明確なCPLを観測することはできなかった。一方、面不斉を有するPhanephos-Tb(III)ハイブリッド発光体では、CPLの発現に成功した。アセトン溶液中では、極大CPL波長489, 529, 543, 557, 590, 625 nm、クロロホルム溶液中では、極大CPL波長492, 533, 544, 552, 591, 625 nmに、強いCPLを観測することに成功し、新しい光学活性有機-メタルハイブリッド発光体の開発に成功した。 続いて、ペリレン骨格に光学活性部位を導入した光学活性ぺリレンジイミド発光体BPPを開発した。 BPPのCPLスペクトルを、高分子ポリマーPMMA Film状態、ポリウレタンmyo-IPU Film状態、固体KBr Pellet状態で測定した。その結果、高分子ポリマーPMMA Film状態、ポリウレタンmyo-IPU Film状態、固体KBr Pellet状態のいずれの状態においても、強力なCPLを観測することに成功し、それらの極大CPL波長は、いずれも635 nm付近であった。
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