研究領域 | 配位アシンメトリー:非対称配位圏設計と異方集積化が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
19H04604
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
林 正太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 講師 (00532954)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エラスティック結晶 / 変形 / 空間分解蛍光スペクトル |
研究実績の概要 |
エラスティック有機結晶の機械的変形に基づき、その結晶空間の制御を目的として研究を行った。特に、この新学術領域内または外部との共同研究によって、空間変化による物性変化を検出する方法を模索した。 結晶の弾性的bendingによって結晶の伸長elongationと圧縮contractionが同時に起こるため、この結晶格子は全体としてunsymmetricな構造になる。この空間を調べるために単純な粉末x線回折装置で、結晶の外側と内側を調べるためのジグを自作し、格子の変形を調べた。狙い通り、結晶変形が明確に格子の伸び縮みへ影響を及ぼすことがわかった。一方で、空間分解蛍光スペクトルで10-20μm(スポット径)の微小領域に焦点を当て調べることによって、検出される蛍光スペクトルが、外側(elongation side)と内側(contraction side)で異なることがわかった。この結果は結晶中で実現されたunsymmetric空間が物性に影響を与えたことを示唆する。これらの結果はまとめて論文投稿予定である。 結晶のtwistingによるキラル空間、asymmetric空間の実現を観察すべく、共同研究を模索した。通常の円二色性(CD)スペクトル測定などは異方性のある分子性固体、すなわち結晶の測定に向いておらず、適した装置を探す必要がある。これに対して、マイクロ径ピンホールを採用した有機結晶の部分測定法を利用し、測定が可能ではないかと考えた。早稲田大学の研究グループとの共同研究により、エラスティック結晶のCDスペクトル測定に取り組んでいるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的に即した実験データは得られてきた。bendingによるunsymmetric空間の実現に関しては当初の予定より、進んでいるが、まだ論文の掲載には至っていない。しかし、高知工科大への異動作業が入ったため、この点に対して進行が遅れたとも言える。一方で、twistingによるasymmetric空間の実現は測定のテスト段階であるため、これから順調に進行するか、失敗するかは経過をしっかりと見ていかなければならないところである。総合して、概ね順調であると自己判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、前年度の成果を論文として掲載することを重点的に考えつつ、結晶のCDスペクトル測定を実現するために、十分なサンプルを確保しなければならない。注意しなければいけないのは、高知工科大学の異動初年度であるため、学生による分子合成と結晶化の指導を1から始めなけれないけないところである。この教育的指導を重点的に行いつつ、前年度の課題をクリアしていくことを基本方針とする。また、エラスティック結晶の分析について、できるだけ多くの共同研究を募ることで、今後に新しい発想を組み込む様に、領域活動を展開していく。
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