研究領域 | スロー地震学 |
研究課題/領域番号 |
19H04624
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
平内 健一 静岡大学, 理学部, 准教授 (10633290)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 沈み込み帯 / 蛇紋岩 / スロー地震 / マントルウェッジ |
研究実績の概要 |
西南日本の深部スロー地震発生域に相当する温度圧力条件下で形成された四国三波川帯の前弧マントルウェッジ蛇紋岩について構造岩石学的解析を行った。研究成果の概要は以下の通りである。 蛇紋岩はblock-in-matrix構造を呈し、ブロックは差応力下における剪断・開口破壊に伴って形成した。マトリックスをなす蛇紋石の一部は形態定向配列を示し、より細粒である蛇紋石ほど波動消光や亜粒界が発達していた。以上のことから、蛇紋岩は脆性破壊(ブロック)と塑性流動(マトリックス)が混合した変形機構をもっていたと言える。 蛇紋石の摩擦則および流動則を用いて構成された西南日本のプレート境界に沿った強度断面図に基づくと、(1)脆性破壊は流体圧が静岩圧あるいは過剰静岩圧状態で起こること、(2)塑性流動はやや低い流体圧下において卓越することを示唆する。深部スロー地震に特徴的なEpisodic Tremor and Slipは、プレート境界における流体圧の上昇・下降サイクルに起因した蛇紋石の変形機構の遷移に起因して発生している可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに野外地質調査を実施し、かつ採取した試料の処理(薄片の作成を含む)を終えた。さらに、ラマン分光分析を行い、蛇紋石種の同定作業を終了している。
|
今後の研究の推進方策 |
block-in-matrix構造がスケール依存性を明らかにするべく、ブロックのフラクタル解析を行う。さらに、マトリックスの蛇紋石の具体的な変形機構を明らかにするべく、電子線後方散乱回折法による結晶方位解析を行う。
|