公募研究
アサ由来オリベトール酸閉環酵素(OAC)は,カンナビノイドの生合成において,ペンチルテトラケタイドCoAの2位から7位へのアルドール縮合を触媒することで,カンナビノイドの生合成鍵中間体オリベトール酸を生産する酵素である。今年度においては,新規オリベトール酸アナログを創出することを目的に,OACの基質結合において,基質のペンチル基を認識するペンチル結合ポケットの底部を形成するLeu9,Phe23,Phe24,Val59,及び側面を形成するTyr27に着目し,1アミノ酸につき,Ile,Val,Ala,Glyに変換したOAC変異酵素を作成し,それらの酵素反応生成物について解析した。その結果,OAC V59Ile及びOAC Y27Phe変異酵素を可溶性酵素として得ることができた。さらに,これら2種の酵素反応性生物について精査した結果,OAC Y27Phe変異酵素は,オリベオール酸の生成量を約1.5倍上昇させること,及びオリベトール酸よりも炭素数が2個長いヘプチル基を有するオリベトール酸アナログ,2,4-dihydroxy-2-heptylnenzoic acidを約3倍多く生産できることを明らかにした。しかし,本変異酵素においては,さらに炭素数の2つ長いアシル基を有するオリベトール酸アナログを生成することはできなかった。一方,OAC V59Ileの反応生成物の解析を進めた結果,本変異酵素が野生型よりも炭素数が6個長いアシル基を有する新規アリベトール酸アナログを生成できることが明らかになった。現在,そのこれらの機能の改変理由について明らかにするため,OAC V59Ileの結晶化を進めているところである。
2: おおむね順調に進展している
本年度は,OACを用いて新規化合物を創出することを目標にしていた。機能改変の詳細なメカニズムの解明までには至っていないものの、OACのペンチル結合ポケットに変異を導入することで,新規オリベトール酸アナログを生産できたことから,総合的に考えて,概ね計画通りに進展していると考えている。
OAC V59IleのX線結晶構造を取得し,機能が改変されたメカニズムを明らかにする。次いで,それに基づき,OACのさらなる機能改変を目指す。また,次年度は,バイアービリガー反応を触媒するNodulisporium sp.由来VidFの機能改変も目指す。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Bioorg. Med. Chem. Lett.
巻: 30 ページ: e126841
10.1016/j.bmcl.2019.126841
J. Biol. Chem.
巻: 294 ページ: 15121-15136
10.1074/jbc.REV119.006129
J. Biosci. Bioeng.
巻: 128 ページ: 445-449
10.1016/j.jbiosc.2019.04.006
J. Nat. Med.
巻: 73 ページ: 805-813
10.1007/s11418-019-01314-7
Org. Lett.
巻: 21 ページ: 2330-2334
10.1021/acs.orglett.9b02443
Tetrahedron. Lett.
巻: 60 ページ: 1841-1844
10.1016/j.tetlet.2019.06.015
Heterocycles
巻: 98 ページ: 650-665
10.3987/COM-19-14071
Nat Prod Res
巻: 33 ページ: 1909-1915
10.1080/14786419.2018.1479703
巻: 73 ページ: 589-596
10.1007/s11418-018-01279-z
ACS Chem. Biol.
巻: 14 ページ: 975-978
10.1021/acschembio.9b00159
Nat. Prod. Res.
巻: 33 ページ: 1175-1181
10.1080/14786419.2018.1465057
Fitoterapia
巻: 134 ページ: 101-107
10.1016/j.fitote.2019.02.016
https://www.inm.u-toyama.ac.jp/napc/index.html