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2019 年度 実績報告書

「緩い」基質認識が可能にするプレニル基転移反応のリデザイン

公募研究

研究領域生物合成系の再設計による複雑骨格機能分子の革新的創成科学
研究課題/領域番号 19H04651
研究機関名古屋大学

研究代表者

邊見 久  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (60302189)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードプレニル基転移酵素 / イソプレノイド / 古細菌
研究実績の概要

メタン生成古細菌Methanosarcina mazeiが有するシス型プレニル二リン酸合成酵素MM_0014について解析を進め、同酵素がアクセプター基質に関してきわめて幅広い特異性を有し、これまでに確認されたことのない化合物に対するプレニル基転移活性を示すことを明らかにした。一部の基質化合物の認識については酵素-基質複合体のX線結晶構造解析を行うことにより、そのメカニズムを明らかにしつつある。また、同菌からすでに見出しているヘテロマー型のシス型プレニル二リン酸合成酵素MM_0618/1083のホモログを探索した結果、同様にヘテロマーとして機能する酵素をある種の好熱性古細菌から見出すことができた。同酵素は好熱菌由来であるため比較的安定であり、さらに複合体としての精製が可能であったため、現在構造解析を目的とした結晶化を進めている。
大腸菌のイソプレノイド生産能の向上を目的として、我々が近年見出したATP低消費型経路である古細菌型メバロン酸経路を導入した。カロテノイド色素であるリコペンを指標としてその効果を確認した結果、準嫌気状態での培養において生産能の大幅な向上を確認できた。
超好熱性古細菌Aeropyrum pernix由来のC25古細菌膜脂質生合成酵素と真正細菌由来のイソプレノイド生合成酵素を組み合わせることにより、C30の側鎖を有する非天然型古細菌膜脂質の合成に成功した。さらにそれらの酵素の遺伝子を大腸菌に導入することで、同非天然型脂質を生産させることにも成功している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特にシス型プレニル二リン酸合成酵素に関して予想外の興味深い研究結果が得られている。本課題の最終目的である非天然型イソプレノイドの合成までは思うように進めていないが、基礎研究としては進展が期待できる。

今後の研究の推進方策

M. mazeiのシス型プレニル二リン酸合成酵素については、新たなアクセプター基質から合成された未知化合物の構造決定を進めるとともに、同様に基質となる他の化合物の探索を進め、同酵素の応用の可能性を探ると同時に、その生理的な役割を明らかにする。古細菌においては、変形メバロン酸経路の発見により、他生物にはないイソプレノイド生合成中間体が存在しうることが示されている。この知見を元にしてプレニル基転移反応のアクセプター基質を探索することを考えている。また、ヘテロマー型のシス型プレニル二リン酸合成酵素については、好熱性古細菌の酵素をターゲットとすることでX線結晶構造を明らかにし、基質認識機構やヘテロマー形成の意義を解明したい。
さらに、大腸菌への古細菌型メバロン酸経路の導入により、シス型プレニル二リン酸合成酵素の構造未知な生成物や、長鎖型の古細菌膜脂質といった非天然型イソプレノイドの大腸菌での大量生産を実現し、それらの化合物の構造決定を可能にしたい。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Reconstruction of the “Archaeal” Mevalonate Pathway from the Methanogenic Archaeon Methanosarcina mazei in Escherichia coli Cells2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Ryo、Yoshimura Tohru、Hemmi Hisashi
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 86 ページ: e02889-19

    • DOI

      doi.org/10.1128/AEM.02889-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A heteromeric cis-prenyltransferase is responsible for the biosynthesis of glycosyl carrier lipids in Methanosarcina mazei2019

    • 著者名/発表者名
      Emi Koh-ichi、Sompiyachoke Kitty、Okada Miyako、Hemmi Hisashi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 520 ページ: 291~296

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.bbrc.2019.09.143

    • 査読あり
  • [学会発表] 古細菌型メバロン酸経路に関与するプレニル化FMN依存性脱炭酸酵素の研究2019

    • 著者名/発表者名
      松嶋夏海、吉村 徹、邊見 久
    • 学会等名
      日本ビタミン学会第71回大会
  • [学会発表] 古細菌型メバロン酸経路に関与するプレニル化FMN依存性脱炭酸酵素の研究2019

    • 著者名/発表者名
      松嶋夏海、品田哲郎、吉村 徹、邊見 久
    • 学会等名
      酵素補酵素研究会2019
  • [学会発表] 超好熱アーキアに見出した「第4の」メバロン酸経路2019

    • 著者名/発表者名
      邊見 久
    • 学会等名
      微生物ウィーク2019 シンポジウム「好熱菌研究最前線」
    • 招待講演
  • [学会発表] Recounstruction of the archaeal mevalonate pathway from the mesophilic methanogenic archaeon Methanosarcina mazei in Escherichia coli cells2019

    • 著者名/発表者名
      Ryo Yoshida, Tohru Yoshimura, Hisashi Hemmi
    • 学会等名
      TERPNET 2019 14th International Meeting on the Biosynthesis, Function and Synthetic Biology of Isoprenoids
    • 国際学会
  • [学会発表] Discovery of a “fourth” mevalonate pathway from the hyperthermophilic archaeon Aeropyrum pernix2019

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Hemmi
    • 学会等名
      Thermophiles 2019 15th International Congress on Thermophiles
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] A heteromeric cis-prenyltransferase from the thermophilic archaeon Archaeoglobus fulgidus: purification and biochemical characterization2019

    • 著者名/発表者名
      Kitty Sompiyachoke, Koh-ichi Emi, Tohru Yoshimura, Hisashi Hemmi
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 非天然型C25,C30-アーキア膜脂質の生合成経路の構築2019

    • 著者名/発表者名
      吉田 稜、吉村 徹、邊見 久
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 超好熱性アーキアAeropyrum pernix由来ホスホメバロン酸デヒドラターゼの解析2019

    • 著者名/発表者名
      米山 睦、吉村 徹、邊見 久
    • 学会等名
      第29回イソプレノイド研究会例会
  • [学会発表] 超好熱性アーキアAeropyrum pernix由来ホスホ-trans-アンヒドロメバロン酸デカルボキシラーゼの特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      邊見 久、松嶋夏海、品田哲郎、吉村 徹
    • 学会等名
      第20回極限環境生物学会年会
  • [学会発表] 「緩い」基質認識が可能にするプレニル基転移反応のリデザイン2019

    • 著者名/発表者名
      邊見 久
    • 学会等名
      生合成リデザイン第7回公開シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] アーキア型メバロン酸経路におけるホスホメバロン酸デヒドラターゼの特性評価2019

    • 著者名/発表者名
      米山 睦、齋藤甲斐、保野陽子、品田哲郎、吉村 徹、邊見 久
    • 学会等名
      2020年度日本農芸化学会大会
  • [学会発表] Does the archaeal mevalonate pathway exist in an unculturable bacterium, Candidatus Promineofilum breve?2019

    • 著者名/発表者名
      Riko Kuriki, Ryo Yoshida, Tohru Yoshimura, Hisashi Hemmi
    • 学会等名
      2020年度日本農芸化学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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