研究領域 | 光圧によるナノ物質操作と秩序の創生 |
研究課題/領域番号 |
19H04675
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エクソソーム / 光圧 / 金ナノ粒子 / キャピラリー電気泳動 / イムノアッセイ / CD63 / がん診断 / がん細胞 |
研究実績の概要 |
エクソソームは細胞から分泌される脂質二重膜から成る直径30~100 nmの小胞体であり、細胞間のコミュニケーション、がん転移に関連し、がんのバイオマーカーとしての活用が期待されている。先の研究において、エクソソームと同様に脂質二分子膜から成る小胞であるリポソームをモデルとして、これをレーザー光の光圧により捕集することに成功し、さらに、金ナノ粒子を共存させることで捕集時間を顕著に短縮できることを明らかにした。また、金ナノ粒子とリポソームの表面電荷を制御し、金ナノ粒子の添加による捕集時間の短縮が、リポソームと金ナノ粒子の静電的な相互作用と疎水的な相互作用の両方によって引き起こされることを解明した。一方、これまでの検討結果から、ガラス基板上に捕集した小胞は、ガラス基板を取り外す際に表面から容易に剥がれ落ちることがわかっている。そこで、エクソソームをガラス表面上に捕集して回収するために、角型キャピラリーを用いたフロー系の捕集システムを作製した。チューブで接続した2 cm程度の角型キャピラリー内に、金ナノ粒子を添加した細胞培養液を流し、レーザー光をキャピラリー内壁に集光することで、エクソソームを内壁表面に捕集、保持し、その後、流出させて回収することを試みた。その結果、キャピラリー表面が正電荷になるように修飾し、正の表面電荷をもつ金ナノ粒子を添加したときに、効率よくキャピラリー表面にエクソソームが捕集されることを見出した。一方、キャピラリー電気泳動に基づく抗体を用いたエクソソームの計測法について検討した結果、当初、複合体だと考えていたピークが複合体ではないことが明らかになった。そのため、抗体の反応性について再度検討する必要が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エクソソームと抗体との反応を利用するエクソソームの測定法に取り組み、当初、複合体だと考えていたピークを用いて定量を試みたが、そのピークは複合体ではないことが明らかになった。そのため、抗体の反応性について再度検討する必要が生じたため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、抗体とエクソソームとの反応性を明らかにする。現在までにエクソソームを溶解するために用いていた界面活性剤が抗体を不活性化することがわかっている。したがって、界面活性剤を用いずにエクソソームと抗体を反応させる方法について検討する。さらにキャピラリー上に捕集したエクソソームを回収し、超微量のエクソソームを計測するためのインターフェース作製に取り組む。
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