公募研究
(1) 結晶構造の量子臨界現象から注目されるBa1-xSrxAl2O4について、比熱、熱伝導、中性子散乱によるフォノン測定から低エネルギー励起を調べた。母物質の強誘電体BaAl2O4は結晶性の高い物質であり、第一原理計算ともよく整合するフォノン励起を示し、van Hove特異点を示すことがわかった。Srを置換していくことで結晶性物質からアモルファスに変化し、そのフォノンはboson peakを示唆するグラス的な振る舞いを示すことが分かった。本物質は結晶性とアモルファスを濃度によって制御できる初の確認例である。成果は現在論文査読中である。(2) ペロブスカイト型構造を持つPb3Fe2O5F2において、磁性の複合アニオン化による影響について調べた。群論を用いた磁気構造解析から、高温相で面内方向を向く磁気モーメントは構造相転移を経た低温相では面直に変化することを突き止めた。第一原理計算の結果と合わせて、複合アニオン化によって結晶場が変化し、結晶場準位の軌道自由度でモーメントの向きを説明することができた。成果は現在論文投稿準備中である。(3) 鉄系梯子型物質BaFe2Se3、BaFe2S3を混晶化することで複合アニオン化を行った。X線回折、電気抵抗、光学伝導度測定、粉末中性子回折によりBaFe2(S1-xSex)3の温度・濃度相図を決定した。x = 0.23付近で磁気構造の相境界が存在すること、鉄系化合物で重要な軌道自由度がこの物質群にも寄与していることを明らかにした。成果はPhys. Rev. Bに出版された。(4) 既知物質で最長のCo-O結合長を持つBa2CoO2Ag2Te2を高圧合成により新たに合成した。磁気構造により同定したモーメントサイズをCo-O結合長による結晶場変化によって理解できた。成果はInorg. Chem.に出版された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 9件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 2件、 招待講演 8件) 備考 (5件)
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