公募研究
梯子型鉄系化合物BaFe2X3 (X = SおよびSe)は結晶構造の低次元性を反映して常圧下でモット絶縁体状態となる.また,鉄イオンに軌道自由度が存在することに加えて,圧力印加によってモットギャップを抑制することで超伝導を示すことから,鉄系超伝導体における軌道選択的電子相関効果の研究対象として注目されている.申請者は硫化物とセレン化物の基底状態における軌道・磁気状態が異なっていることに着目して,それらを複合アニオン下した物質における研究を実施した.これまでに二つの試料が完全固溶し,組成相境界が存在することを明らかにしている.2020年度はいくつかの組成の試料に対して赤外分光測定を行い,組成相境界を挟んで硫化物において低エネルギー側に存在したスペクトルウエイトがセレン化物側では高エネルギー側に移動することを明らかにした.軌道秩序パターンの違いが電荷ギャップの大きさに関連していることを指摘した.特定の組成の試料に対して圧力下電気抵抗率測定を実施し,圧力誘起の軌道スイッチングを観測した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件)
Physical Review Research
巻: 2 ページ: 043293
10.1103/PhysRevResearch.2.043293
Physical Review B
巻: 102 ページ: 014433
10.1103/PhysRevB.102.014433
巻: 102 ページ: 035104
10.1103/PhysRevB.102.035104
巻: 101 ページ: 245112
10.1103/PhysRevB.101.245112