研究領域 | 複合アニオン化合物の創製と新機能 |
研究課題/領域番号 |
19H04689
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
清水 亮太 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (70611953)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複合アニオン化合物 / 水素化物 / 薄膜物性 / エピタキシャル成長 |
研究実績の概要 |
YOxHyのエピタキシャル薄膜における照射光の依存性を調べたところ、バンドギャップに相当する波長よりも短い光にのみ強い応答があることがわかった。そのため、高強度のUV光であるArFエキシマレーザー(波長193 nm)を照射したところ、光照射による絶縁体-金属転移を見出した。また、加熱による加速試験を試みたところ、元の高抵抗状態へと戻ることがわかった。この数日レベルで金属状態を保持し、かつもとの高抵抗状態に戻る物質は従来には存在しなかった。現在、この起源の解明に向けて、水素の組成(核反応分析)・構造(XAFSや中性子回折)・電子状態(XAFSや第一原理計算)を進めている。
CaNxHy薄膜においては、大気中の水分や酸素に弱いため、大気非曝露での成膜・評価のシステムの構築を行った。この非曝露のステップにより、Ca2NHとCaNHのエピタキシャル薄膜合成に成功した。なお、成膜中の窒素流量によってCa2NH(Hは形式的にH-)、CaNH(Hは形式的にH+)と変化することを見出した。Hの荷電状態がスイッチングしやすいことを示唆しており、今後は外場による制御が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・ターゲットとなるYOxHyでは光照射による新奇物性の発見、Ca2NHではエピタキシャル薄膜合成と、当初の予定通りの進捗となっており、来年度のさらなる展開が見通せている。
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今後の研究の推進方策 |
YOxHy・CaNxHyともに鍵となるのはHの組成制御と荷電状態制御である。現在は、成膜中のガス流量・分圧(化学ポテンシャル)と光による制御を行っているが、現在電場による制御を行うためのシステムを構築している。もし電場でこれらのHの荷電状態を制御できれば、能動的な光学・電子デバイスへの応用につながることから、次年度はこの点に留意して研究を進めたい。
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