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2019 年度 実績報告書

極性層状酸ハロゲン化物の強誘電性と電荷ドメイン構造の系統的研究

公募研究

研究領域複合アニオン化合物の創製と新機能
研究課題/領域番号 19H04704
研究機関大阪府立大学

研究代表者

石井 悠衣  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50708013)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード強誘電体 / 強誘電ドメイン
研究実績の概要

最近、複合アニオンを利用した可視光応答型水分解光触媒に注目が集まっている。特に、強誘電性を併せ持つ極性層状酸ハロゲン化物光触媒Bi4NbO8X (X = Cl, Br)は、従来トレードオフの関係にあった高い可視光応答性と光安定性を同時に実現していること、また、高い光触媒活性を示すことから、一層の高活性化に向けて急速に研究が進められている。本研究では、光励起されたキャリアの安定性に、この物質が示す強誘電性に起因する電荷ドメインの形成が関与している可能性に着目し、強誘電ドメイン観察を行うことで、そのドメイン形状を明らかにすることを目的としている。
強誘電ドメインの観察や、そのドメイン境界の解析を行うには、その結晶構造が明らかとなっていることが欠かせないが、本研究において予備的に行った電子回折実験 (粉砕法) では、報告されている空間群(P21cn)とは、消滅則が一部不一致する実験結果が得られていた。そこで、本年度は、まず空間群の決定を行うことを目的とした。TEM観察用試料は、主にArイオンミリング法によって作製し、必要に応じてFIB法を併用した。X = Cl, BrそれぞれのTEM観察用試料に対し、主要な入射方位([100],[010],[110],[001]など)について電子回折パターンを調べ、消滅則を慎重に検討した。その結果、X = Clの空間群を特定するに至り、過去の報告P21cnとは異なることを明らかにした。同様にX = Brに対しても消滅則を詳しく調べ、その空間群を特定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、Sillen-Aurivillius型極性層状ハロゲン化物Bi4NbO8X (X = Cl, Br)の高い光触媒活性の起源の解明を目的とし、本系が強誘電性を示すことに着目して、その強誘電ドメインの形状やドメイン境界構造の解明を行っている。これには、これらの系の結晶構造が明らかになっていることが欠かせないが、本研究のこれまでの成果として、X = Cl, Brともに空間群が過去の報告とは異なることを明らかにし、それぞれの空間群を特定した。また、本結果を受けて、強誘電ドメイン観察に本年度中にすでに着手した。現在までに、暗視野観察と走査型透過電子顕微鏡観察の主要な観察結果が得られており、今後はドメイン境界構造の解明に進む段階になっている。これらのことから、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、暗視野観察と走査型透過電子顕微鏡観察結果の詳細な比較や検討を行い、各ドメイン内での構造を検討していく。必要であれば加熱実験も行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Glassy anomalies in the lattice heat capacity of a crystalline solid caused by ferroelectric fluctuation2019

    • 著者名/発表者名
      Y. Ishii, Y. Ouchi, S. Kawaguchi, H. Ishibashi, Y. Kubota, and S. Mori
    • 雑誌名

      Physical Review Materials

      巻: 3 ページ: 084414/1-5

    • DOI

      https://doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.3.084414

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SrAl2O4-BaAl2O4固溶体が示す不安定な双晶ドメイン2019

    • 著者名/発表者名
      石井悠衣
    • 雑誌名

      日本結晶学会誌

      巻: 61 ページ: 157-158

    • 査読あり
  • [学会発表] HoMn1-xTixO3の特異なドメイン構造2020

    • 著者名/発表者名
      内橋研人,塚崎裕文,FERRNANDO Cubillasm,石橋広記,久保田佳基,石井悠衣,森茂生
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 年会
  • [学会発表] 充填トリジマイト型酸化物Ba1-xSrxAl2O4のガラス的熱伝導率2020

    • 著者名/発表者名
      山本有梨沙,石井悠衣,森茂生,佐藤直大,森孝雄,河口彰吾
    • 学会等名
      日本物理学会 第75回年次大会
  • [学会発表] Excess heat capacity observed in Ba1-xSrxAl2O4, a candidate compound for a quantum paraelectric2019

    • 著者名/発表者名
      Y. Ishii, Y. Ouchi, S. Kawaguchi, H. Ishibashi, Y. Kubota, and S. Mori
    • 学会等名
      The Joint ISAF-ICE-EMF-IWPM-PFM Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 充填トリジマイト型酸化物Ba1-xSrxAl2O4における過剰比熱2019

    • 著者名/発表者名
      石井悠衣,大内雄也,河口彰吾,石橋広記,久保田佳基,森茂生
    • 学会等名
      日本物理学会 2019年秋季大会
  • [学会発表] ホロコーン・フーコー法による FeGa 磁歪合金の磁区構造観察2019

    • 著者名/発表者名
      藤林征宏,大迫明弘,川口惇史,石井悠衣,沼倉宏,原田研,森茂生
    • 学会等名
      日本金属学会 2019年秋期(第165回)講演大会
  • [備考] 材料構造物性研究グループ 森研究室 HP

    • URL

      http://mori-lab.mtr.osakafu-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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