研究実績の概要 |
申請者は本年度において酸フッ化物に着目した研究を行った。その研究実績概要を以下に示す。 ・Pb-Ti-O-F系の可視光応答電極触媒反応…PbとTiを含む酸フッ化物Pb2Ti2O5.4F1.2およびPb2Ti4O9F2において、可視光応答光触媒電極反応の研究を行い、これらがよい活性を示す事を発見した。またアパタイト系Pb5V3O12X(X = F, Cl, Br, I)についても同様に可視光応答光触媒特性の評価を行い、Pb-Xの化学結合とバンドギャップの関係を系統的に明らかにした。さらに、Pb2Ti2O5.4F1.2における課題であった表面の疎水性について、アルカリ処理を行うことでそれらが改善されることがわかった。 ・6s2孤立電子対によるO/Fアニオン秩序配列の誘起…同じ結晶構造をとるPb2Ti4O9F2とB2Ti4O11の結晶構造の比較を行った。放射光粉末X線回折による精密構造解析の結果、Pbと共有結合性の強いサイトをFが選択的に占有し、そのためにアニオン秩序配列が起こることがわかった。同様に、第一原理計算においても、共有結合性と構造安定性の評価から、このメカニズムが正しいことが検証された。 ・Pb3Fe2O5F2におけるスピン再配向を伴う構造相転移…Pb3Fe2O5F2のスピン再配向を伴う構造相転移について、スピン再配向の起源がFeの配位構造の変化に伴うHOMO-LUMO相互作用の変化であることを発見した。第一原理計算でもこのメカニズムを支持する結果が得られた。またPbサイトもしくはFeサイトへの元素置換による構造相転移挙動の制御を試みたが、それぞれ数%までしか置換できず、また置換量が少ないためか、相転移挙動に大きな変化は見られなかった。
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